第百話
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なったのか。それは先ほども言ったように、日本古来の習俗に・・・『子を捨てる』という習俗にある」
『忌まわしき習俗であるな!オレの今の立場を作り出す、実に忌々しい!』
そう言いながらも笑っているヒルコは、これを忌々しく思っていながらもそれだけではないのかもしれない。
変化に寛容なのか、なんなのか・・・
この習俗は、知っている人もいるかもしれない。
日本には古来、双子を忌む慣習があった。だからこそ、双子が生まれた時には片方を捨てることで、厄払い、厄除けとした。・・・この習俗こそ、ヒルコが棄てられるという神話を作り出した大本であろう。
「こうして、お前・・・ヒルコという神は棄てられることになった。ではなぜ、ヒルメではなくヒルコが棄てられることになったのか。それは、お前を棄てるという形での書き換えの方が楽だったからに他ならない。なぜなら・・・ヒルコの物語には、海に流されるというものがもともと存在していたからだ」
そして、この物語の中にヒルコが蛇となる原因が・・・本当に些細な、しかしそうとも読み取る事の出来る記述が存在する。
「親に棄てられたヒルコは、成長した後にアマテラスのもとに参上する。そこで、アマテラスにこう命じられるんだ。
『お前は親に棄てられ、下位の龍神の子となった。だから、民を守る神となれ』
とな。これは、海へと流された不具の子であるヒルコは強い生命力を持つ蛇の子となり、自らも蛇となることによって、その生命力を持って再生し、不具の子ではなくなった。ここでヒルコが収まった西宮の神は、別名夷三郎。・・・ここからも、ヒルコとエビスとの合同が見られる」
ここで、ヒルコは兄であるアマテラスに、となっているのだが・・・まあ、これについては気にしなくてもいいだろう。
日本神話で神の性別が逆転することなどしょっちゅうだ。
「では、なぜヒルコは海へと流されていくことになったのか。そこには様々な理由があるわけだが・・・」
と、そこで俺は一つの船を発見した。
おそらくあれが、ヒルコが入れて流されたという葦の船だろう。
「よう、初めまして・・・でいいのかな、ヒルコ」
「うむ、こうして対面するのは初のことであるな」
と、そいつは・・・葦の船の中にいる、形のない神は答えた。
骨がなく、立つ事も出来ない最近のヒルコの形。
「それにしても・・・本当に、こんな感じなんだな。確かにこれは気持ち悪い、不具の子だ」
「はっきりと言ってくれるな、神殺し」
「そうは言っても、俺は神殺しだからな。神に対する敬意とか欠片もないし、どうせ殺すんだ」
あ、そういやまだ名乗ってなかったな。
「さて、挨拶を続けるか。俺は神代武双。神代家長男でカンピオーネ歴二年ち
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