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徒然なるバカに
素直な人間が全て善良な人格者だとは限らない
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ことなのだ。

「思うこと、か……」

意味有り気に言葉を濁す彼。

「危険かもしれないぞ?」

「構わないわ」

そんなこと百も承知だ。

泥棒。犯罪者を相手にするというのだ、危険が伴うことくらいわかっている。

「相変わらずたくましいこと」

嫌味っ垂らくいう彼は何処か満足気。

「まあ、行動に移すのは放課後、んー夜中の方がいいかな」

「夜中!?」

「そ、夜中」

何故そのような時間帯を。わけがわからない。

「……説明しなさいよ」

彼に説明を求めるのはなんとも屈辱的なことなのだが、こうなったら仕方ない、恥を偲のんで聞くことに。


「説明もなにもねえって。なんとなくだよ、なんとなく」


彼はそれだけ言うとエレベーターのボタンに手を掛ける。

「ちょっ!なんとなくって……なんとなくで納得なんて出来るわけないでしょ!?」

「だから何度も言ってんだろ?おれだってまだ確証も確信も持ってねえんだって」


ーーおれだってなんとなくで動くんだよ


彼は上ってきたエレベーターに乗る。

「まっ、その固い頭で精々考えてな」

最後に彼はそう捨て台詞を吐いて、下って言った。


「んーーッ!!」

彼がいなくなったせいか、このどうしようのない感情を何処かへぶつけるわけもなく、押し殺す。

相変わらずなにを考えているかわからない。

短絡的に物事を考えていると思えば、そうでもない。だからといって反証的かと言えば、そうでもない。ただ自分が感じたことを感じたまま行動に移しているだけなのだろう。俗に言う、素直、ということだろうか。

性格は素直どころか捻くれてるけどね。

彼のさきほどのなにかわかったであろう物言いが頭によぎる。

「あぁ……むかつく」


私はイライラしながら時計に目をやる。

時刻は午前8時。

もうすぐ朝のHRの時刻だ。

急ぐ必要はないのだけれども、ひとまずこの件に関しては保留にし、私は自分のクラスへと向かうことにした。
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