第百七十八話 捕虜交換調印式
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ので、その旨はご勘弁頂きたく」
「そう言う事ならば仕方が有りませんわね。けど何時でもお待ちしていますわ」
ロボス達に聞こえるように大きな声でキャゼルヌを勧誘するテレーゼにキャゼルヌ自身も大いに迷惑顔で否定しているが、ロボスの取り巻きや情報部はキャゼルヌの動向を益々監視せねばと記録するのである。
続いてヤンに話しかける。
「ヤン准将、エル・ファシルではまんまとしてやられましたわ、逃げる司令官を囮にするとは、普通の考えの持ち主では出来ぬ奇策ですわね」
テレーゼの言葉にヤンが古傷を抉られた様な顔をする。
「あれは……」
「まあ、過ぎたことは仕方が無いことですわ。リンチ提督も今では“あれが最良の作戦だった”と仰っていますからね」
暗い感じになるヤンを明るくさせてやろうとテレーゼは二人に話す。
「ヤン准将、キャゼルヌ准将、彼処にいる金髪の少将はラインハルト・フォン・シェーンバルトと言って、父上の寵姫グリューネワルト伯爵夫人の弟なのです。武勲もないのに少将まで上がってしまった為に、いつも戦争に行きたい行きたいと我が儘を言う上昇志向の強いマザコンでシスコンですわ。今回も伯爵夫人が弟の艦隊司令官就任記念の箔付けの為だけに、父上にお強請りして無理に参加させましたのよ。それだから旗艦もあんな真っ白な斜め2本線を引いてTV映りを良くしているんですわよ」
それを聞いた二人が思わず苦笑いする。
「それはその何と言った良いのやら」
「全く困ったことですわ。此はオフレコですけど、帝国では上流の方々の我が儘やエゴでの出兵が多いもので軍としても壁癖しておりますわ」
「それは専制政治の悪癖ではないのですか」
「まあ、其方も総選挙や統合作戦本部長選挙の度にイゼルローンへ攻めかかる訳ですから、何ら変わりは無いようですけど」
ヤンの皮肉にも簡単に切り返してしまうテレーゼで有った。
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