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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百七十八話 捕虜交換調印式
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テレーゼの話を聞いて、グリーンヒルは、不器用な後輩の姿を思い出して心が痛んだ。
「そうですか、彼がそんな事を言いましたか、彼らしいと言えます」
「父上も、リンチ提督の清さに感動なさいまして、今回の捕虜交換の件を進める事にしたのですよ」

「そうなのですか」
感動の余り涙ぐむグリーンヒル。そんなグリーンヒルを小馬鹿にしたような目で見つめる顔色の悪い士官がいたので、テレーゼはその人物が誰か知っていたが敢えて聞いて見る。

「其処の顔色の悪い痩せた士官は病院にでも行ったらどうかしらね」
そう言われて、周りから見られた上に含み笑いをされたフォークは目を見開いてテレーゼを見る。
「何を言われるかと思いましたが、此は生まれつきです」

「あらそうなの、で卿の名前は?」
今までとうって変わり小馬鹿にした様な態度にフォークは唇を噛みしめながら叫びたいのを我慢して答える。
「自由惑星同盟軍中佐宇宙艦隊作戦参謀アンドリュー・フォークです」

フォークと言われてテレーゼが思い出した様に手を叩く。
「卿がフォーク中佐か、なるほどね」
そう言いながら、フォークをマジマジと眺める。
「卿と話をしてみようと思ったのだけど、興味が失せたわね」
「な……」

テレーゼの余りの言葉にフォークは真っ赤な顔になりフラフラと倒れた。
騒然とする会場であったが、フォークを随員の数人が休憩室へ連れて行く事で収まった。
「済みませんわ。フォーク中佐がグリーンヒル提督を小馬鹿にした様な態度をしていたのでつい虐めてしまいましたわ」

そう言うと会場に苦笑いが起こった。

そんな姿を見ているヤンとキャゼルヌは二人で話す。
「おい、ヤン、あの皇女殿下は相当の毒舌だな」
「先輩にそう言われるんじゃ、相当なものでしょうね」
「おいおい俺は違うぞ」
「そうしておきますよ」

話していると、彼等の方にテレーゼがやって来て話しかけてくる。
「キャゼルヌ准将とヤン准将ですね、妾はテレーゼですわ。是非お会いしたかったですわ」
先ほどとうって変わった態度に驚く二人。

「アレックス・キャゼルヌ准将と申します」
「ヤン・ウェンリー准将です」

キャゼルヌとヤンに挨拶したテレーゼは早速二入にスカウトをかける。
「キャゼルヌ准将、卿の書いた経済理論など諸々の論文を態々フェザーン経由で取り寄せて、帝国の経済の改変に利用させて貰っていますのよ。その作者たる卿に会える事を楽しみにしておりましたわ。それだからこそなのですが、卿のような優秀な人材を是非帝国に招きたいと常々思っていましたのよ。どうでしょう帝国軍上級大将の地位と商務尚書の地位を用意する故、帝国へ来て貰えませんか?」

「殿下のお言葉ですが、小官は自由惑星同盟に生まれたことを後悔しておりません
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