5話 The Origin
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イヤホンから流れ出る音楽が止まった。
(フフ。時間ピッタリね)
内心ほくそえみながら、私は周りを見渡す。
緑色の空。
棺桶のオブジェクト。
ところどころにある血溜まり。
まさに、
(影時間!)
内心ワクワクが止まらない。
原作開始の時間になればこうなるとわかっていた。
それでもやはり興奮せずにはいられない。
私自身に適正があることは端からわかっていた。
それなのにも関わらず、今までには影時間を体験したことはなかった。
たぶん、月光館学園周辺でなければならないのだろう。
桐条グループの実験の失敗でこうなったということは、原作からも知識としてすでにある。
そしてその実験の失敗の影響範囲がこの地域ということなのだろう。
(うふふふ。ここからよ、ここから私の物語が始まるのよ!)
当たり前のことだが、影時間の中人の気配はない。
そしてシャドウも見当たらない。
私は地図を片手に原作の寮へと向かう。
(最初に会うのは誰かな?真田先輩?それとも伊織かな?)
そこで私は思い出す。
(あ、違った。出迎えはあのビッチ岳羽だ)
思わず思い浮かべた原作の女キャラに舌打ちをする。
(確かあのブス、最初はペルソナ召還するのチキってる奴よね)
原作で最初に出会うのは岳羽ゆかりという女の子だ。
彼女のイメージカラーはピンク。
冬の制服ではピンクのセーターを着ていて、夏服ではそれを腰に巻いている。
(あれ、お洒落だと思ってんのかな?ピンクをアピールする女って・・・なんかウザくない?)
きっと前の世界での私のイメージカラーは黒だっただろう。
しかし、今の私は赤。
中身と外見の不一致が私を苦しめる。
(はっ!そうだ。これを武器にすればいいのよ・・・時に憂う顔を見せる女、いいわ!これイケル!)
すべては男を落とすため。
前の私は男と付き合ったことはないが、高校生なんてヤリたい盛り。
ちょっと気がある風を装えば、すぐに落ちる。
(まぁ、岳羽と桐条さえ邪魔しなければ、だけどね)
そう、これが問題なのだ。
ゲームとこちらの世界の相違点。
それはゲームでは見られなかったイレギュラー。
たとえば、もし私が真田先輩と付き合わなかったら、彼は桐条と付き合うかもしれない、ということだ。
そしてあることに対する対策も立てなければならない。
それはどうやって股を掛けるかということだ。
ゲーム内でなら掛け放題だった。
しかし、こちらではそううまくはいかない。
これは大きな問題なのだ。
この問題がある分、おおきなメリットもある。
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