その19
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ら抜け出す口実に私を使ったのでしょう。
ならば、この後どうするかは決まって無いはずです。
アカデミーの廊下を連れ立って歩きながら、何となく、去年と今年の違いを再び考えてしまっていました。
去年はこのまま、サスケの家に行きました。
なんやかやとくだらない事で笑い合いながら。
でも。
むっつりと黙り込んだままのサスケに、ちょっと寂しくて切ない気持ちが湧いて来ました。
耐えきれなくなって、私はサスケに声をかける。
「ねえ、サスケ!」
ちらり、と視線を寄越すだけなのはいつもの事。
本当に不機嫌ならば、サスケは私の声にも反応しません。
その時は殺気混じりにクナイを投げつけてあげますが。
だからいつもどおりに続けます。
「これからどうする?」
いつもだったら、サスケは私を睨んで、ちょっと考えてから嫌そうに提案して来たり、ぶすくれながら私のしたい事を聞いて来たりします。
こんな風な無愛想な所もやっぱり去年とは違う。
正確には、去年のあの日から。
サスケは変わった。
変わったけれど、でも。
「そうだな……」
サスケは少し視線を下に落とし、ぼんやりと考え始めました。
その消沈した空気と横顔に何となく、胸が騒ぐ。
「修行、するか……」
顔を上げて、痛みを堪えて遠くを見るような眼差しで在らぬ場所を見詰めたサスケに、私は思わず足を止めました。
やっぱり。
私は私なりにサスケを祝いたいです。
サスケの、生まれて来てくれた日を。
こんな私と友達になって、そしていつも一緒に居てくれるサスケの誕生日を。
「ナルト?」
足を止めた私に、サスケは怪訝そうに振り返った。
何の感情も見せないようなサスケの黒い瞳に、素直に感情を起伏させて、そして無邪気に笑っていた去年の『サスケ君』の面影が重なる。
にこり、と私はサスケに重なった『サスケ君』に笑いかけた。
「ごめん、サスケ。今日、僕、修行に付き合えないや。する事が有るんだ!」
去年のようににっこりと笑いかけて、私はサスケの提案を断った。
そんな私に驚いたようにサスケは目を瞬かせた。
「ごめんね!じゃあね!」
そんなサスケをその場に残し、碌に挨拶もせずに私は家に急ぎました。
全速力で一直線に里を駆け抜け、梢の合間を縫って山を登って。
肩で息をしながら家に着いた私は、急いで水に浸けて置いた小豆を確認しました。
本当は昨日から用意するべきだったけど。
でも、私が手を出して良いか分からなくて。
だけどお祝いしてあげたくて。
でもやっぱり、私には迷いがあって。
どうしてもサスケに話を切り出す事ができなくて。
行動すら、今日の朝になるまで起こせなかったから、だからごちそうは用意できな
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