魔石の時代
第一章
始まりの夜4
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があり、相談されたのが事の始まりだった。もちろん、言うまでもなく向こうは私が吸血鬼であるなどという事は知らない。相談と言っても改まったものではなく、挨拶に来た際についうっかりそんな愚痴をこぼしていったと言う方が正しい。
ともあれ、女としてそんな変質者をのさばらせておく訳にはいかない。珍しく夜遅くに訪ねてきた恭也と美由紀に相談したところ――といっても、私も愚痴っただけだが――彼らは妙にその話に食いついてきた。彼に促されるまま簡単に情報を集めてみると、確かに被害が出ているらしい。それもここ数日毎日のように。まだ四月と言う事で、一日の来客数はまだそこまで多くはない。だが、それでも相当数の被害者がいた。奇妙なのは、どれだけ巡回を強化しても犯人の痕跡一つ見つけられない事だ。更衣室に女性スタッフを配置しても効果がない。
まるで透明人間ね。私の冗談に、恭也達はますます表情を険しくした。慌てて問い詰めた結果、打ち明けられたのが、喋るフェレットと、なのはを襲った化物。そして、その原因となった何でも願いを叶える宝石の話だった。
ひょっとしたら、その下着泥棒も……?――半信半疑のまま、今日を迎えたわけだ。
「リブロム君は平気?」
ついでに言えば、結果は大当たり。恭也となのは、そして喋るフェレットのユーノと、光の相棒である偽典リブロムのお陰で無事に解決に至った。
「さんざん愚痴ってたが、どうにかな」
喋る陽気な本であるリブロムだが、本だけに水は苦手らしい。プールに行くと言った時
はかなり本気で嫌がった。本が相手では水着の女の子も餌にはならない訳で、説得するまで随分と苦労させられた。と、それはともかく。
「そう。それなら、お礼をしないとね」
言いながら、指先を伸ばす。と、一匹の猫がそこに鼻を近づけてきた。一見すれば、普通の猫だ。しかし、実際は違う。光が生み出した魔法生物の一体だった。魔犬ならぬ魔猫。彼が私達姉妹を守るために用意してくれたもう一つの保険。怪しい相手に探りを入れられる、手綱のある猟犬ならぬ、猟猫だった。この子達なら、おそらくあの宝石も見つけ出せるだろう。
「お願いね」
用意しておいたナイフで指先を軽く切り、滴る血を舐めさせる。光の魔法には代償が必
要だと言う。その為の血だ。血を舐め終ってから囁くと、魔猫は小さく鳴き、静かに闇の
中へと走り去っていく。
「あの宝石を追いかけていけば、いずれ光君にも追いつけるでしょ」
今の状況から考えて、リブロムと恭也、なのはに対するお礼としてはそれが一番だろう。それに、私自身も心配だった。……もっとも、光本人にとっては余計なお世話なのかもしれないが。
「ああ、そうだな。ありがとう」
「いいわよ。私にとってもいずれは弟になるんだしね?」
「……まぁ、そうだが」
そこで何やら不満そうに恭
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