魔石の時代
第一章
始まりの夜4
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がしくなるだろう。特に異界の魔法使いには用心してくれ。何をするか分からない。最悪、この家の守りが突破される可能性もある。今さら改めて言う必要はないだろうが、なるべく関心を引かないようにしてくれ」
「ええ、充分に気をつけるわ」
頷きながら、胸中でため息をつく。光はやはりあの宝石より、異界の魔法使いを警戒しているようだった。
(あの子……ユーノ君の話を聞く限り、そこまで警戒しなければならないようにも思えないけれど……)
彼の言う異世界の魔法使いの事はすでに知っていた。もちろん、直接言葉を交わした訳ではない。あくまで恭也経由で話を聞いただけだ。ただ、その話を聞く限り……こう言っては何だか、光より遥かに平和的な魔法使いだと思う。もっとも、うわべを取り繕うなんて事はいくらでもできるだろうが。
「ところで、光君。桃子さんも士郎さんも、あなたが帰ってこないって心配していたわよ? もちろん、なのはちゃんも」
滅多な事で動揺を表さない『魔法使い』御神光から、僅かながら動揺を感じた。何となくホッとする。そんな場合ではないのだが。
「……奴らに目をつけられた以上、帰る訳にはいかない」
「彼らがいなくなったら?」
「…………。その時に考えるさ」
まぁ、今はこの辺りで満足しておくべきだろう。魔法使いでも揺らぐ事がある。それが分かったから。もっとも、それは当然の事だ。魔法使いだろうが吸血鬼だろうが、私達は感情を持った生き物なのだから。
「状況が変わったらまた連絡する。邪魔したな」
話はそれで終わりと言わんばかりに、光は言った。そのまま魔力を練り始める。せめてもの仕返しと言う事なのだろう。その黒い姿が月影となって消える直前、こんな事を言い残した。言外に、思い切り含みを持たせて。
「それじゃあ、ごゆっくり。素敵な夜を」
3
「ばれてたみたいよ?」
義弟の姿が夜の闇に消えてから、私は部屋の片隅に声をかける。
「……まぁ、アイツの心眼から身を隠せると思ってた訳じゃないからな」
そんな事を言いつつも、憮然とした様子で姿を現したのは恭也だった。
「それにしてもあいつはまた余計な事を……」
不満そうにぶつぶつと言うその姿に、思わず笑みがこぼれる。
「まぁ、いいじゃない。気を使ってくれたんでしょ」
私達は今日、近くの室内プールへ行く約束があった。表向きはデート。すずかやアリサ、なのは達も一緒だったが……それは私達にとってはよくあることだった。
だが、実は違う。というより、ここ数日の間に予定が狂ったと言うべきか。
奇妙な下着泥棒が出る。前々から行こうと話していたそのプールには、ここ数日、そんな噂が立っていた。そのプールの経営者は、私の家――資産家としての月村家とも多少縁
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