天舞う竜の祝子
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(ワイバーン)のヴェルハルト、天使のルナティックロア……他にも大勢。
だが、サルディアはそれを知っていて、アイゼンフロウを呼ぶ。
何度でも、呼び続ける。
「アイゼンフロウ……」
「あと10秒。9…8…7…6…」
水晶を抱きしめ呼びかけるサルディア。
そんな彼女を追い詰めるように、フラウはカウントダウンを始める。
「お願い…力を、貸して……」
「5…4…」
黒水晶が帯びる赤い光が、強くなる。
それは水晶が消える兆候。
フラウはそれを何度も経験しているので―――――それが解る。
「3……2……1……」
もう、時間はない。
それだって、サルディアは知っている。
だから――――――最後に、叫ぶ。
「お願い!もう1度…もう1度だけ私に力を貸して!召喚―――――アイゼンフロウ!」
祈るように手を組んで。
願うように目を閉じて。
「ゼ……」
ロ、と。
フラウが最後の数字を言いかけた。
――――――――その時だった。
【祝福の導き手のグレードを上昇】
「!」
聞こえた声に、フラウは目を見開いた。
この声を、フラウは4回聞いた事がある。
星霊魔法で星霊が現れた時に、どこからか鐘の音が鳴るように。
どこからの声なのかは解らないが聞こえる、柔らかい女性の声。
【“召喚者の一時的な死”の経験によりグレード上昇を認める】
サルディアが2年もの間グレードを上げられていなかったのは、こういう訳だ。
召喚者を一時的とはいえ死なせるなんて、サルディアには出来なかったから。
危険になれば別の召喚者を呼び、致命傷を負えば水晶になる前に戻す。
だからこそ、サルディアは祝福の導き手のままだった。
【かの者に、天舞う竜の祝子を与える】
それが、サルディアの新たな魔法。
飛竜の召喚を得意とする、グレード4の召喚魔法。
閉じていた目を、開く。
そして―――――サルディアは、叫ぶ。
黒い鱗に赤い瞳の友の名を。
「力を貸して!召喚―――――アイゼンフロウ!」
腕の中が輝いた。
赤い光を帯びていた黒水晶が、強く赤く発光する。
目を開けていられないほどの光が辺りを包み込み、フラウは思わず両腕で目を覆った。
瞼の奥で光が消えていくのを感じながら、目を開く。
「!なっ……」
フラウは目を見開き、言葉を失った。
その目に映っていたのは、先ほどまでとは違い、力強く立ち上がるサルディア
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