天舞う竜の祝子
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事で合ってるのかな、アイゼンフロウ?」
その問いに飛竜――――――アイゼンフロウは頷き、地面に『YES』を書く。
やや歪んだ文字を見ながらクスッと笑い、サルディアはツインテールを揺らした。
「OK。それでアイゼンフロウ、家族は?」
尋ねた言葉の意味が解ったのだろう。
アイゼンフロウは赤い目を伏せ、悲しそうに俯いた。
その表情―――あまり変わったようには見えないのだが―――に気づいたサルディアは、静かに呟く。
「…ゴメンね、嫌な事聞いちゃった」
「ガルウウッ!」
悲しそうなサルディアの横顔に、アイゼンフロウは慌てた様子で首を横に振る。
気にしないで、というような様子に力なく微笑みながら、サルディアは目を伏せた。
(アイゼンフロウには家族がいない……それって、1人ぼっちって事だよね)
1人でこの森に暮らしていて。
1人で大きな穴で生きていて。
――――――――この先もずっと、1人で。
(……それって、私の主になる人と一緒だ。一族から離れて、1人で。ギルドの人達もいるし、双子のお姉さんと異母兄弟のお兄さんもいるって話だけど、ずっと一緒にいる訳じゃないんだろうし)
この時のサルディアはまだ知らない。
主となる男クロスが、どれだけのシスコンかを……。
そして姉と離れる気など毛頭ない、変人と書いてシスコンと読む変わり者だという事も……。
(ギルドには、知ってる人ばかりじゃないハズ。ううん、むしろ知らない人の方が多いんだ。そんな場所に…1人で……お姉さんとお兄さん以外の知ってる人がいない中で……)
ぎゅっと拳を握りしめ、唇を噛みしめる。
もう、迷いはなかった。
ルーナサー家がある意味を、ようやく知った気がする。
「アイゼンフロウ」
「?」
名を呼ばれ、アイゼンフロウが首を傾げる。
その赤い目を真っ直ぐに見つめ、サルディアは口を開いた。
「私ね、今日からマグノリアに行くの。主となる人に仕えるの」
「ガウ……ルッ?」
「あ、マグノリアっていうのはね。ここから東にある商業都市」
それでね、とサルディアは続けた。
お互いの瞳がお互いを見つめる。
パチパチと瞬きをするアイゼンフロウに、サルディアは言った。
「それでね……私、アイゼンフロウについて来てほしいの」
「ガ…ガルウッ!?」
「今日会ったばかりなのにこんな事言うのは変かもしれない。だけど、私の魔法ならアイゼンフロウを連れて行ける」
そこまで言ってサルディアは立ち上がり、ペコッと頭を下げる。
その様子を不思議そうに見つめるアイゼンフロウに気づいているのかいないのか、紡ぐ。
「お願い、アイゼンフロウ。私と一緒に来て」
そう言われ、アイゼンフロウは戸
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