天舞う竜の祝子
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ず尻餅をつく。
痛た、と呟きながら立ち上がるサルディアに、飛竜は何か言うと足音を響かせ穴を出ていった。
が、当然サルディアに飛竜の言葉を理解する事は出来ず。
(え、今何て言ったの…?で、でも逃げるなら今だよねっ!食べられちゃう前に逃げなきゃっ!)
ぐっ、と拳を握りしめ、震える足で1歩踏み出す。
出口まであと3歩、2歩、1歩――――――。
「ルガッ!」
「帰って来るの早すぎ!?」
あと1歩、というところでサルディアの脱出計画は失敗に終わった。
飛竜に追い詰められるように穴の中に戻りながら、サルディアはその場に座り込んだ。
翼を傾けた飛竜の背から、ドサドサドサーッ!と音を立てて何かが落ちる。
(あれは、木の枝?…私、焼かれるっ!?)
ぞわっ!と寒気が走る。
今日は日差しの暖かい散歩日和だったはずなのに、一気に真冬になってしまったかのような錯覚を覚えた。
「……ガルアアアアッ!」
「ひいいいっ!」
飛竜の口が開く。
その口の奥にキラリと赤い光が見えた瞬間、紅蓮の炎が放たれた。
思わず悲鳴を上げて後ずさるサルディアを不思議そうに眺めてから、飛竜は翼を上手く使ってサルディアを火へと近づけていく。
(や、やっぱり私餌になるんだ!……お父さん、お母さん。今までありがとう。2人より先に死んじゃってゴメンね……)
ぎゅっと目を閉じ、全身を焼かれる事に覚悟を決める。
それでもやはり恐怖はあり、がくがくと体を震わせ、そして――――――
「……あれ?」
とすん、と。
サルディアは火の近くの地面へと座らされた。
丁度火が正面にあって、サルディアの濡れた髪や服を乾かしていく。
(あ…もしかして、私が湖に落ちて濡れてるから……?)
見上げると、飛竜もこちらを見ていた。
紅蓮の目が、優しそうに細められている。
その目を見ていると不思議と気分が落ち着いて来て、笑みを浮かべる余裕が戻ってきた。
「ありがとう、私はサルディアっていうの。解る?」
「ガルウッ!」
首を傾げ問うと、飛竜はこくんと頷く。
翼の先の二つに分かれた手のような部分を地面に近づけ、何かを書いている。
同じ場所に立って見てみると、『Sardia』の文字。
「そう!あなたは?」
一文字のミスもなく書き上げた飛竜に拍手を送り、名を尋ねる。
飛竜は先ほどと同じように動かし、サルディアの名の下に自分の名を書いた。
―――――――――『Eysenflоw』。
「アイゼン、フロウ?あなたはアイゼンフロウっていうの?」
「ガウッ」
「それはYESって
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