第130話 蜂蜜姫は考える
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とも考えれば南陽郡だけでなく荊州全域に諜報の網を張るべきです。そうなると少なくも連隊規模の人員は必要です。任務の性格上、人選は慎重に行なう必要があるためできるだけ早急に対処すべきです」
明命は美羽に防諜部隊の強化を進言する。美羽は彼女の進言と頷きながら黙って聞いていた。
「明命の言う通り、こちらの手の内は漏れないようにしなければいけません。孫堅のことは詳しくは知りませんが風聞から察するに人一倍野心の強く気性の激しい人物と思います。南陽郡にとって災禍を招く人物と見て問題ないかと」
亜莎が美羽に孫堅の危険性を訴えた。それに美羽は渋い表情を返す。
「美羽様、このまま孫堅を放置することは私達にとって危険です。孫堅は間違いなく南陽郡を狙っています。このままだと劉表と通じるとも限りません」
明命は亜莎の言葉に続き畳み掛けるように美羽に「孫堅に対するべき準備をすべき」と言わんばかりの物言いをした。
「美羽様、そんなに難しい顔をしてなくても大丈夫です。殺しちゃえいいんです。どんなに凄い人物でも死んだら終わりです」
美羽の側に控える七乃は美羽の顔を上から覗き込むように見た。彼女は言葉と裏腹に彼女の表情は微塵も悪心を感じさせていなかった。
「七乃。孫堅、暗殺しろというのかや?」
「いいえ。暗殺など滅相もない」
美羽は苦い表情を七乃に向け口を開く。七乃は玩具を与えられた子供のように無邪気な表情を浮かべ、美羽の言葉を直ぐに否定した。
「七乃さん。では、どうされるのです?」
亜莎は七乃の表情から彼女が碌でもないことを思いついたことを理解しつつも彼女の策に興味を持っているようだった。亜莎にしてみれば、いずれ美羽と孫堅が事を構えるになるなら可能な限り被害を最小限にしたいと考えいるのだろう。それが如何に卑劣な策であろうと。
対して明命は美羽と七乃のことを何も口を挟まず真剣な表情で様子を窺っていた。孫堅を謀殺するとなれば明命が動く可能性でありいろいろと思うところがあるのだろう。
「孫堅に劉表を攻撃させればいいのですよ」
七乃は美羽に意表をつく答えを告げた。
「孫堅が劉表を襲う理由があるまい」
「そんなことはないと思います。孫堅の治める長沙郡は異民族が多く住んでいるため、彼らの反乱は枚挙の暇がない。お陰で経済的には裕福とはとてもいえません。その上、彼女の元にいる者達の多くは武辺者ばかりで内政に優れた人物は少ない。県であれば問題ないでしょうが郡を治めるきれる程の人材の数は要していません」
「孫堅が金に困っていることと劉表を攻撃することとどう繋がるのじゃ」
「孫堅は血の気が多いんです。私怨で荊州刺史王叡、前南陽太守の張シを殺しちゃっています。全て場当たり的にです。だから切欠さえ与えれば考え
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