第130話 蜂蜜姫は考える
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ていた。
「美羽様、しっかりしてください。二人もです。他の家臣に見られては笑われてしまいますよ」
盛り上がる三人に困り顔の渚が注意した。
「渚、悪かったのじゃ。つい嬉しくての。のう明命と亜莎?」
「はい」
明命と亜莎は美羽に嬉しそうに口を揃えて返事した。渚は三人の様子を優しい表情で見ていたが何かに気づいたのか明命に声をかけた。
「明命、伊奈瀬は一緒ではなかったのですか?」
伊奈瀬は冥琳の叔母・周昂のことで、襄陽に丹陽兵六千を届けてからは暫く客将として襄陽警備に力を貸していた。その後、美羽の家臣として仕えるようになる。美羽に仕えた切欠は彼女からの申し出で美羽としては願ったり叶ったりだったことは言うまでも無い。
「伊奈瀬さんですか? 鍛錬してから寄ると言っていましたけど」
「そうですか。彼女も精が出ますね」
「伊奈瀬さんに何か急用でも」
「正宗様が襄陽に来ることは美羽から話があったと思います。正宗様の共に冥琳様も来られるそうです。彼女は冥琳様の叔母なので伝えておいて方がいいと思っただけです」
「じゃあ、私が伝えておきましょうか?」
「大丈夫です。正宗様が来られるのは二週間後。明日来るというのでないですから私から伝えておきます。ああ。朱里様も来られると言っていました。鉄心にも伝えておかないといけません。忙しくなりそうですね」
渚は美羽に頭を下げ、忙しそうに執務室を去っていった。
「渚様は相変わらず忙しそうですね」
亜莎が美羽に唐突に言った。
「もう一人位、渚のような人物が欲しいところじゃな。本当に渚には苦労をかけている。妾は渚に足を向けて寝れんのじゃ」
美羽は亜莎の言葉を噛み締めるように瞑目し何度も頷く。
「美羽様、人材募集は捗っておられないのですか?」
「芳しくないのう。お眼鏡に適う人物となるとなかなか難しいのじゃ。伊奈瀬が来てくれなかったら渚が過労で死んでおったかもしれん」
美羽は真剣な表情で明命と亜莎を見つめた。
「最近は劉表の間者だけでなく、長沙郡大守・孫堅の間者も襄陽に入ってきているようですし人材確保は危急の課題だと思います」
明命はふと美羽に南陽郡に入り込んでいる間者の話をはじめた。
「そんなに多いのかの?」
「はい、去年まで孫堅は南陽郡に目を向けていないようでしたが、今年に入ってから徐々に増えて来ています。孫堅は無頼者上がりということもあり、彼女の放った間者は補足しやすいので今のところ問題ないですけど数が増えると大変になると思います」
「領内が安定してきたと思ったら次は外に面倒な奴等が湧いてくるとはな」
美羽はうんざりとした表情になり考え込む。
「今からでも防諜部隊の層を厚くすべきだと思います。今後のこ
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