第130話 蜂蜜姫は考える
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となど造作ないのじゃ」
美羽は渚の言葉は納得できない様子だった。
「美羽様が治めるまで、その真逆が起こっていたのです。それを正されたのは他でもない。美羽様でございます」
「そうですよ! 美羽様、自信を持ってください」
渚と七乃は声を揃え、美羽を褒めた。美羽も少し照れた表情を浮かべ表情を二人から逸らした。
「ところで劉表のやつはどうしておるのじゃ」
美羽は照れ隠しからか話題を逸らした。
「以前までは何もありませんでしたが、最近郡境に兵を寄越しては我らを挑発しております。劉表は優秀な人物ですが優柔不断で過激な策は好まない性格です。動いているのは劉表の義理の妹・蔡瑁でしょう」
「目障りじゃな。数年に渡る減税や商業振興など諸々の政策がやっと実ったというのにの」
美羽は面倒臭そうな表情を渚に返す。再度、七乃が美羽に蜂蜜水を差し出すと、美羽は今度は何も言わず受け取りちびちびと飲みはじめた。その様子を見て七乃は腕を組みガッツポーズをする。
「美羽様、仕方がありません。利あるところに人は集うものでございます。こちらから手を出さない限り劉表は動くことはございません」
「じゃろうな。蔡瑁が嫌がらせのように兵を引き連れ郡境を彷徨いているのもこちらに非がある状況をつくりたいのが見え見えじゃ。蔡瑁はこのまま無視で良い。渚、秋の収穫からは税率を通常通りに戻せるかの。そろそろ郡の国庫も心許ないのじゃ」
美羽は南陽郡で悪徳官吏と不逞豪族を誅殺して以来、疲弊した南陽郡を立て直すために本来の税率の半分に引き下げていた。その穴を埋めるため美羽は自分を筆頭に官吏に質素倹約を奨励し、誅殺した悪徳官吏と不逞豪族が溜め込んでいた財貨を当てたり、私費を投じたり苦労をしてやりくりを行なっていた。
「本来の南陽郡の経済力に復活したとまでは言えませんが、本来の八割までは復活していると思います。美羽様、今年は税率を八割まで戻し、後の二割は正宗様に知恵をお借りしてはいかがでしょうか? 正宗様は奇抜な政策で冀州を豊かにしていると冥琳様より聞いております」
「兄様にかの?」
美羽は少し悩む表情で渚を見た。
「美羽様、ご懸念でも?」
「懸念はないのじゃ。できれば南陽郡の立て直しは妾自らの手で成し遂げたいと思っただけじゃ。兄様に妾が一人前に頑張っていると見せたくてな」
美羽は顔を俯き加減にゆっくり喋り始めた。その様子を渚は微笑ましく見つめ、七乃は美羽の様子に悶絶しかけていた。
「美羽様。正宗様を頼られたからといって、美羽様の頑張りが無に期すことなどございません。失礼ながら正宗様とて万能ではございません。その証拠に正宗様は多くの家臣を取り立てられ自らの足りないモノを補っておられるます」
美羽は渚の一言一言を黙っ
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