第五章
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考えた顔になるジョバンニだった。
「何処かに飲みに行くにはまだ少し早いな」
「どうします?」
「一応外に出ようか」
考えながらこう弟子に答えた。
「やっぱり。何処かに」
「またあの酒場ですか?」
「それもいいね。けれど」
やはり考えながらミショネに答える。
「あそこが開くのにもまだ時間があるし」
「何処かで時間を潰しますか」
「うん。また歩くか」
腰を伸ばしつつ言うジョバンニだった。
「何処か適当な場所を」
「今日は随分歩かれたんですね」
「三時間は歩いたかな」
「多分だけれど」
「多分ですか」
「どうしようかな。教会の方でも行くか」
この言葉は半分以上思いつきだった。
「そうしようか」
「教会ですか」
「そうさ、街のね」
こうミショネにも答える。
「そこに行こうか。何処がいいと思う?」
「別に教会でもいいんじゃないんですか?」
ここは師匠の思うままに任せることにしたミショネだった。それが今の師匠の絵にはベストの処置だと思ったからである。
「それで」
「そうか。ではそちらに行くか」
「けれどこの時間に教会に行かれるのは珍しいですね」
ジョバンニも信仰心がないわけではない。むしろ結構篤い方である。よく無神論者や共産主義者をそれで批判する。彼はキリストについてそれなりの意識があるのだ。
「いつもは朝なのに」
「少しな」
今の返答はぼんやりとしたものが入っていた。
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