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炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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「待っていたよ、おちびちゃん」
 シャナも到着した所で役者は全員揃った訳だが、最初に口を開いたのはフリアグネだった。
「"狩人"フリアグネ。私達がそれ程、多くを語り合う必要はないわね。分かっているでしょうけど、私が勝ってお前が討滅される、それがこの決戦のシナリオよ」
 のっけから敵を挑発するシャナ。だが、確かにシャナの言う通りではある。俺達はあくまで敵同士。先程までの語らい自体が異常だったのだ。
「なかなか言うね、おちびちゃん。だけどその言葉、そっくりそのままお返しするとしよう」
 ふふっ、と不敵に笑い返すフリアグネ。『トリガーハッピー』をしまい、ハンドベルを取り出す。同時に、屋上を埋め尽くすマネキンが一斉に動き始めた。
「まずは復習と行こうか。僕の可愛い人形達の攻撃、どこまで凌げるかな? 正直、君ごときに『トリガーハッピー』を使う必要があるとは思えないしね」
 ゆっくりと身構えていくマネキン軍団。その中でウェディングドレスを着た一体はフリアグネの傍らに移動した。白いスーツを着たフリアグネと並び立つと、さながら新郎新婦の趣を感じさせる。
「俺達を甘く見るなよ、フリアグネ。例えお前に地の利、加えて必殺の切り札があったとしても、勝負は終わるまで分からない。平和な結婚式じゃないんだぜ」
 結婚式……あぁ僕達の服のことだね、とフリアグネ。
「それは良い。おちびちゃんはともかくとして、君には一件が終わってから神父役にでもなってもらおうかな」
「そいつは勘弁だな。あいにく、神父をやってた知り合いが嫌いだったんだ。絶対にならないって宣言してやるよ」
 神父役なんて頼まれたって、やってやらない。就きたくない職業ナンバーワンと言ってもいいくらいなんだ。ましてや、あんな危険な新郎新婦の相手は御免被りたいしな。
「残念だね。ああ、本当に残念だ」
 おどけて見せやがって、一体どこまで本気なんだか。
 あるいはいつも本気なのか? それはそれで迷惑な話ではあるが。
「何、呑気に話してんのよ。あれは敵よ、敵!」
 シャナの言う通りだ。後は奴と戦う、決着を付けるだけだ。
「ああ、分かってる」
 お話はここまでだ、と口に出す代わりにフリアグネに視線をくれてやる。
「なんか調子狂うわね。あー、もう良い! いくわよ!」
 そう言ってシャナはマネキンの群れに突撃していった。
 あいも変わらず勇敢な事だ、だけど
「まっ、待てシャナ。そいつ等は――」
 爆発するんだぞ、と言い終えることは出来なかった。シャナだって忘れた訳ではないだろう。それなのに突撃なんて勇敢を通り越して無謀だ。
「そんな事わかってる―――っ」
 そう言いながら、シャナは暴風のように敵陣に突入した。非常に分かり易いその戦闘スタイルは、シャナらしい、見ていて不思議と安心できる戦い方であ
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