暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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ようとアレはフリアグネの造った物なのだ。
 つまり、その本質は他のマネキン――即ち爆弾燐子となんら変わらない。
 平突きから横薙ぎに移ろうとしたのだろうが、依然、シャナは動かない。
「―――ちッ」
 シャナの舌打ちが聞こえた気がする。
 そして気付く。マネキンの狙いを。
――路地裏の時と同じかっ!
 いや、動かないのではない。動けないのだろう。
 アレは恐らくタイプ2――腹部強化型のマネキン。
 ここに来て、恐らくシャナが知らないであろう最後の武器封じを使ってきたのだ。
――これで終わりよ、フレイムヘイズ!
 後方から見ていてもすぐに分かる。きっと今頃、刀身……いや腕ごとガッチリとホールドされている筈だ。
 シャナは――動けないっ!
 それはかつて俺の部屋で一戦交えた時と同じだった。
 基本的に近接戦闘では獲物が長い方が勝つ。何度も言うがそれが戦闘の常識だ。
 リーチが長ければ、相手が近寄るよりも前に先制出来る。戦闘なんてものは後手に回れば回るだけ不利になるからな。
 だが、一度近付かれれば状況は変わってくる。
 あの時は壁に穴がなんだと文句を垂れてはいたが、その実、俺は壁を利用していた。
 シャナの油断を利用し、夫婦剣で攻撃を防ぎ壁に突き立てさせて太刀を封じる。
 今回の場合、壁の代わりにあのマネキンの腹がその役を担っている。
 武器の動きを止めてクロスレンジよりもさらに敵と近い距離、即ち超近接戦闘を行えれば大太刀は一転して不利な武器になってしまうのだ。 
 シャナの爆発力と太刀のリーチを持ってすれば、彼女の攻撃はすべて必殺の奇襲と化す。
 だが、逆を言えば彼女の攻撃はそれしかない。相手の間合いの外から攻撃し、その長大なリーチを持って敵を迎撃。
 突くか斬り払うか、唐竹や横薙ぎなんかの違いはあっても、極限まで突き詰めるとシャナの攻撃はこの2パターンだけになる。特性上、どうしても大太刀は大振りになる為、間髪を入れない連続攻撃は不可能。フェイントを入れることも出来ないし、素早い動作が出来ないことから防御も得意としていない。
 つまり攻撃はいつも一撃必殺。文字通りの一撃であり、一撃離脱の反復がメインとなっておる。
 つまり、あの大太刀は常に相手と一定の距離がなければ機能しないという訳だ。
 外にはシャナの爆発力でリーチを伸ばせるが、内はどうしようもない。
 あんな大きな武器は、超至近距離では振れないのだ。無用の長物とまではいかずとも、長い得物だと役に立たない。
 武器を封じれば、後は接近戦に移るだけだ。後は煮るなり焼くなり好きに出来る。
 しかし今、マネキンも同時に動きを止められている。
 贄殿遮那で串刺しにされてしまっているからな。
 そんな事はウエディング姿のマネキンも承知の上だろう。あの突撃の次
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