”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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ったのだ。気を抜くとそのまま倒れてしまいそうだった。
この夫婦剣も都合9セット目、お陰で魔力もほとんど残っていない。
魔力も体力も限界に近い。だがまだ眠る訳にはいかない。シャナは未だ戦闘中なのだから。
とはいえ、この状態で加勢に行っても邪魔になるだけだ。
息を整えながらシャナの方を見る。マネキンという客も居なくなり、使われなくなった遊具しかない廃墟に置いてでさえ、その戦闘は異質に見える。
残された、ウエディングドレス姿のマネキンとフリアグネ。それと対峙しているシャナ。激しい戦闘もいったんの膠着状態にある様子。奴が鳴らし続けているハンドベルの音以外に音がしない。そのある種の静寂がこの世のものとは思えない程、異質なものに感じられた。
それはミステスとしての俺の残り火が、ベルの音の度に内側から弾けそうな感覚を感じているからかもしれないが。
――それはダメだ、マリアンヌ!
こちらに良く聞こえるくらい大きな声を張り上げるフリアグネ。
「――何か仕掛ける気か?」
フリアグネの声は毎度のものと違っていた。調子の外れたいつもの声が何やら切迫された様にも感じられる。
ここに来て奥の手……なんてのは厄介だが、今の俺はここからは見ているしか出来ない。
フリアグネを倒して、俺も生き残る。そういう約束なのだ。
不用意に近付けば何が起こるか分からない。
「気を付けろよ、シャナ」
フリアグネに聞こえてしまっては警戒度を上げてしまう。きっと聞こえていないだろうが、彼女の背中に小さく言う。
――また必ずお逢い出来ます。しばしの別れをお許しください、フリアグネ様。
覚悟を決めて、明確な意志を秘めた瞳。それはどんな刀剣や魔術よりも強力な武器だ。所詮、武器を使うのは人間。どんな業物だろうと、それを生かすも殺すも人間なのだ。
そう言って、ウエディング姿のマネキンはシャナに突撃していった。
マネキンに何を……、と他人が見れば馬鹿にするかもしれない。
だが、強化された視力が見たそのマネキンの姿は、もはや一人の女性のものだった。
覚悟を決めたマネキンを見て、シャナも大太刀を水平に構える。そして突撃。
ただの平突きですらシャナの身体能力を持ってすれば、文字通りの必殺技に昇華する。
――しかし結末とはいつも呆気ないものだ。
マネキンの腹部に深々と刺さった大太刀、そこから出血がない事が、あれを人間ではないモノだと再認識させる。
「――――っ!?」
だが、両者とも動かない。時間が止まったかの如く動きを止めてしまう。
アレは他のマネキンと性能が明らかに違うハイスペックモデルなのだろう。フリアグネがただ一体、護衛として残した事や、これまでシャナをして決着を付けられなかった事がそれを裏付けている。だが、どれ程、性能が優れてい
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