暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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と互いを引き寄せ合う磁石のような性質を持っている。
 先に投擲してバブルルートを巻き込んだ莫耶に吸い寄せられていく干将。
――弾き飛ばすだけでは回収される恐れがある。
 故の追撃、やるならやるで徹底的に確実に潰す必要がある。
 引き寄せられた干将が莫耶に接触した瞬間に爆破。宝具を爆破して攻撃する『壊れた幻想』ならCランクの夫婦剣でもBランク相当の火力を出す事ができる。
 バブルルートの破壊は確認出来ない。派手に鎖が飛び散るかと思えば、存外そうでもないのかもしれない。
 ともかくも、頼みの綱の武器封じもこれで使えないだろう。
 即座に脳内に用意しておいた夫婦剣を引き出す。
 宙を舞う鶴の翼による攻撃、そこから二組目の夫婦剣の連続投影。
 ここから近接戦闘に移っての連撃、トドメに三回目の夫婦剣の投影からの攻撃による三連投影戦術もあるんだが、今のは夫婦剣を使った中距離攻撃だ。
 投擲からの連続投影、言うならば鶴翼二連ってところか。
 ともかく、これに『壊れた幻想』を合わせれば、ちょっとした対軍宝具相当の火力を出す事が出来る。
 しかしまぁ連続投影といえば聞こえは良いが、今の俺の連続投影は例の突貫仕様だ。
 敵と切り結べば数合も保たないだろうが、そこは数で勝負するしかない。折れればまた夫婦剣を用意するだけだ。
「シャナはともかくとして、武器封じは俺と相性が悪かったな」
 遠く離れたフリアグネに言ってやる。無論、聞こえてはいないだろうが。
 しかし意思は案外と伝わっているようである。
――やるじゃないか。
 フリアグネはこちらを一瞥した後、ぽそりとそう呟いた。そして距離があり聞こえない筈のそれは、何故かよく聞こえた気がする。
 二組目の夫婦剣を強く握り直し、俺は再び俺の敵を見据える。
 武器封じも止めたし、これでシャナの方には当分手出しをする必要はないだろう。
 これ以上の手出しは野暮ってものだしな。
「ここからは2ラウンド目だ――っ」



  ◇



 元来、戦闘というものは極めて短時間に終わるものだ。ダラダラと長時間に及ぶ戦闘というものがそもそも異常なのであり、こういった決戦だと決め手を欠かない限り形成というものは一気に決する。
「はぁ――、はぁ――。これで――全部、片付いた――」
 膝を付き、今にも崩れそうな身体を莫耶を地面に突き立て支える。
 周囲にはマネキンの残骸が散乱していた。見方によっては大量バラバラ殺人の犯行現場にも見えるかもしれない。
――それが作り物と分かっていてヒトガタをバラバラに出来る自分に、辟易もしてしまうが。
 やたらと感傷的になっちまうな。疲れてるからか?
 マネキンを片付けた途端、疲労がドッと押し寄せてきたように感じる。思えば、気絶していたとはいえ事実上の連戦だ
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