暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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を削ってやればいいだけなのだから。
 シャナの得物のリーチを支えているのは、大太刀の実寸と瞬発力にある。
 瞬発力を削るには脚を止めてやるだけでいい。そういうのには地雷なんかが有効なんだが、この屋上にそんな物は敷設出来ない。その代用として爆弾燐子……即ちマネキンを使っているのだろうが、生憎な話だがそいつらの相手を俺がしている為、フリアグネはシャナの脚を止めることが出来ない状況にある。
「邪魔だっ!」
 斬り伏せたマネキンを蹴飛ばし、軍勢を一時後退させる。
――シャナは、フリアグネの奴は何処だ。
 マネキンとの戦闘で、既にシャナとフリアグネの位置は分からなくなっている。奴がことを起こす前に見つけなければならない。
 だが、そう広くない屋上だ見付けるのは容易い。強化された俺の視線が、コインを今まさに飛ばそうとしているフリアグネを見つけるまでに、コンマ数秒もかからなかった。
――間に合うかっ!? いやっ。
「させるかぁぁっ!」
 コインが鎖に変わり、贄殿遮那に迫る。だが、鎖が大太刀を絡め取るよりも数瞬早く――

 俺の投擲した鶴の片翼、莫耶が鎖を横から弾き飛ばした。

 弾き飛ばされた鎖は屋上から飛び出していく。
――脚を止めれないなら、武器を封じる。
 あの路地裏の戦闘でもフリアグネが取った策だ。
 確かに有効な戦術であり、事実、先の交戦ではシャナの大太刀は見事に封じられてしまっていた。そしてそれは、今回もだっただろう。この短期間に打開策を立てられるのなら誰も苦労はしない。
 シャナは搦手をそう得意とはしていないだろうし、彼女の装備だと有効な対策なんて俺だって思い付かない。
 だが、シャナの場合はそうでも俺の場合は状況が変わってくる。
 俺自身も奴の武器封じは一度味わっているし、シャナが封じられているのも目撃している。
 敵の戦力を削ぐのに武器封じが一番手っ取り早いのは分かるが、流石に繰り返し過ぎだフリアグネ。
 三回目まで成功させてやる程、俺は優しい奴じゃない。
 武器封じが狙いだと分かっていれば、最初からそれを警戒してるさ。
 横から弾き飛ばされた鎖、確か『バブルルート』と言っていたが、アレは武器を捕縛して封じるタイプの宝具だ。
 なら、本命の武器を捕縛される前に別の武器を身代わりにしてやれば良い。
 自分の得物を簡単に手放せる奴なんて普通はいない。その常識があの宝具を有効に機能させている理由だ。
 しかし、こと衛宮士郎においてはそんな常識は当てはまらない。
 鎖を弾き飛ばした莫耶は、バブルルートに贄殿遮那よりも先に接触している。当然、鎖は莫耶を捕縛する。これで贄殿遮那の安全は確保できた。
 だが、これだけでは終わらない。俺は続けてもう一翼の干将を投擲している。
 夫婦剣『干将・莫耶』は離れていよう
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