暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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ればシャナも聞いてくれるだろう。勝負ごとにはいつだって真剣勝負って感じの奴だしな。
「提案したのはそっちでしょ? なんで私がそんな勝負をしなきゃいけないのよ」
 ため息混じりの返答を背中越しに返される。
――こいつは予想外。ノッてこなかったか。
 確かにシャナの言う通り、俺が提案してらしかも条件まで叩きつけるなんてのは、ムシのいい話ではある。
 それに、どのみち俺がやられてしまってはシャナがここまで来た意味の一つが無駄になるんだ。
 まぁ、良いか。どのみち戦いが終われば頼むつもりだったんだしな。
「けど、良いわ。その勝負、ノってあげる。その代わり、もしお前が生きてなかったら私にメロンパンを一個奢ること。それが条件よ!」
 笑いながらシャナは俺の投げた手袋を拾ってくれた。
 シャナが目的を果たす為には、必ず負けなければならない勝負と分かっていながら。
――第一、死んだ奴にどうやってメロンパンを奢らせる気なんだか。
 まぁ、良いや。実にシャナらしいし。
 本人もきっと分かって言ってる筈だし……な。
「良いぜ。一個と言わず売り場に売ってる分、全部買い占めてやるよ」
 ははっ、と笑いながら返してやる。
「ふん、言ったわよ。約束を破ったら、こいつで身体に風穴を開けたげるわ」
 ジャキっとわざとらしく刀を鳴らしてくる。
「怖い怖い。せいぜい財布の紐を緩めて置くことにするよ」
「前々から思ってたのよ。なんの報酬もなくこんな仕事してるなんて、私も物好きだってね。今回は報酬もたんまり貰えるかもだし、しっかりやらないとね」
 おいおい、そいつは俺に死ねって言ってんのかシャナ。
「存在の乱獲を防ぐが故の同族殺し。その担い手が私欲で動いてはならぬ、と言いたいところだが今回は……まぁ良いだろう。こやつの財布が空になるまで、たっぷりと食い尽くしてやると良い」
 なんでこんな時に限ってノリが良いんだよアラストール。けど、まぁそもそもが俺が死ななきゃ良い訳だし、有って無いような条件なんだ。問題はないだろう。
 それからどちらともなく、数瞬の間が出来た。
「それじゃあ、行ってこいシャナ」
「ええ、行ってくるわ」
 ダンッ、と地面を蹴り飛ぶシャナ。この屋上だ、シャナの蹴りなら一足でフリアグネの元に行けるだろう。

 シャナがいなくなり、沈黙がマネキンと俺を包み込む。
――シャナが、いなくなった途端にジリジリと空間を狭めてきやがって。
 元々、シャナの開けた台風の目ではあったが、その空間は徐々にではあるが狭くなってきていた。
 舐められたものだ、シャナ相手には踏み込めないが俺相手では踏み込めるらしい。
 そもそもコイツ等に意思はあるのだろうか。いや、そんな事はどうでもいい事か。
 なる程、確かにシャナを相手には踏み込めないだろう。大
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