”狩人”フリアグネ編
十四章 「決戦」
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爆だって、フリアグネもちゃんと人形と合わせて動いていれば自爆する必要はなかった。
それこそ火でも飛ばすなり、『レギュラーシャープ』だったか、カードを飛ばす遠隔攻撃系の宝具を使えばいい。いや、それこそあの『トリガーハッピー』を撃てば良かったではないか。
マリアンヌという大事な人形に自爆をさせてまで、奴が他の宝具を使わなかった理由は何だ。
あの燐子起爆宝具のハンドベルだって、確実に拳銃を撃ち込むための布石ではないか。なら何故、今撃たない。
そんな俺の懸念を他所にベルを鳴らし続けるフリアグネ。
人形を失ったショックで鳴らし忘れるどころか、ベルを持つ左腕は少しも動揺を見せず一定のペースで音を鳴らし続けている。
―――まさか。
一つの可能性が生まれる。そしてそれが、可能性から疑惑に変わる。
先程から感じる心臓の拍動を無理やり変えられている感覚。そもそも俺の存在の残り火、その揺らめきが擬似的な拍動となって今の俺を動かしている。
奴のハンドベルはおそらくその存在の力を起爆剤として燐子を爆破する宝具だ。だからこそ、爆発までに個体差がある。
人間の拍動にだって個人差があるんだ。残り火の揺らめきも同じなのだろう。
そして今、俺の揺らめきはむりやり周期を変えられつつある。いや、殆ど変わってしまったと言っていい。
例えば、あのハンドベルの音が燐子だけでなくトーチも爆破できるならどうだろう。
燐子とトーチ、両者は結局のところ存在の力で稼動する、共に徒に作られた存在だ。元となるオリジナルの存在が有るか無いかの違いしかない。
存在の残り火の揺らめきの個体差から生じる爆破までのタイムラグ。つまり、個体差さえなくなれば爆発は全て同時に発生するということになる。
つまり、トーチ全てを任意のタイミングで起爆可能な武器として利用出来るという事になるが、おそらく奴の目的そんな物じゃない。
なら何故、そんな必要が。とも感じるが、それはフリアグネの目的が理由になる。
言うまでもないが『都喰らい』が奴の最終目的だ。そしてそれを念頭に置けば、全てに辻褄が合う。
アラストールは言っていた。
――――その“棺の織手”は己の喰ったトーチに『鍵の糸』という仕掛けを編み込んだ。彼奴の指示でトーチは形骸を失って分解し、元の存在の力に戻るという物だ。
――――彼奴は潜んでいた都の人口の一割を喰らうと、仕掛けを発動させた。トーチは一斉に元の存在の力に戻った。
つまり、街の人口の一定数に及ぶトーチがが同時に失われれば望む望まないに関わらず『都喰らい』の現象が発生する事になる。
フリアグネはハンドベルを使ってトーチの起爆タイミングを操っていると仮定するならば、このままでは奴の思うツボだ。
そしてそれの裏付けという程でもないが、もう一つの疑問が
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