第三章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
」
笑って皆に言う。
「これはね。内緒なのよ」
「内緒って何よ」
「何か余計に気になるわ」
「それでもよ。言えないのよ」
それでも言おうとはしない久美子だった。
「このことはね」
「何かそれってどうなのよ」
「ここまで来て言わないなんて」
「悪いけれどね。とにかくよ」
皆に対して告げる。
「コンサートはじまるわよ。早く行きましょう」
「やれやれ。強引なんだから」
「まあピアノ好きだからいいけれどね」
「聴くとそれだけでもう満足できるから」
久美子の翔一のピアノへの言葉だ。
「本当に凄いんだから。彼のピアノって」
そう語る久美子の左胸には二つの花があった。赤い花と白い花。今はブローチだが確かに彼女の胸にあり続けている。そこでクリーム色のスーツを、彼女自身を飾っているのだった。あの時翔一と約束した時のまま。二つの花が彼女を飾っているのだった。
赤い花白い花 完
2008・9・10
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ