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僕の生まれた理由
僕の生まれた理由
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れからおうちの猫と人間達に囲まれて生活することになった。御主人様がおうちに帰ってくると挨拶をしたりする。お嬢様や旦那様に対してもだ。
「おう、よしよし」
 旦那様は僕達をとても可愛がってくれる。何をしても怒らないとても優しい人だ。
「あの人は昔からああなのよ」
 タマさんがそう教えてくれた。
「昔からなんですか」
「ええ。私達の名前をつけてくれたしね。これは前に言ったわよね」
「はい」
「すっごく猫が好きなのよ。だから私達をとても可愛がってくれるのよ」
「そうだったんですか」
「あんまりにも怒らないので奥様にはかえって不満に思われてるけれどね」
 その奥様もとてもいい人だった。僕達が側に来ると笑顔で迎えてくれる。
「可愛いのよね、本当に」
 目を細めてそう言ってくれる。それがとても嬉しかった。けれど怒ると怖い。悪さをするとすぐにひっぱたかれた。
「あいてててててて・・・・・・」
「一体何やったんだよ、今度は」
 ダイザエモンさんが尋ねてきた。
「ちょっと噛んだらひっぱたかれました」
「そりゃ怒られるよ。奥様はそれが一番嫌いなんだから」
「噛むの以外にも怒られますけど」
「奥様はな、噛んだら絶対に駄目なんだよ。御主人様やお嬢様は緩く噛んだら怒らないだろ」
「そういえばそうですね」
「旦那様はどれだけ噛んでもいいぞ。あの人は怒らないからな」
「人によって違うんですね」
「猫だってそうだろ、それぞれ違うのさ」
「そんなもんなんですか」
「そうだよ。その証拠に俺と御前で全然違うだろ?」
「はい」
「それと同じだよ。人間だってそれぞれなのさ。それも覚えておいた方がいいぜ」
「わかりました」
「兄貴の言う通りだ」
 ショウザエモンさんも言った。
「ここの家の人達は皆いい人ばかりだけどな、中にはとんでもねえのもいるんだ」
「とんでもないのも」
 それを聞くと耳と尻尾が痛くなった。足もだった。
「そうさ。俺達をいじめたりする奴がいるんだ」
「いじめたり」
 痛みが酷くなる。それがどうしてなのかはわからないが。首まで痛くなってきた。
「だからな、注意しとけよ。俺と兄貴はここに来るまで野良猫だったけどそういうのを見てきたんだ」
「はい」
「俺達は家猫だから外には出ないがな。客人には注意しとけ」
「変な奴には近寄るなよ」
「わかりました」
 とりあえずはおうちの人は大丈夫らしい。甘えると喜んでくれる。お嬢様も自分の部屋に笑顔で入れてくれた。どちらかというと御主人様よりお嬢様の方が僕達に対して優しいように感じた。
「あら、新入りね」
「お嬢様はな、結構自分勝手なんだよな」
「自分勝手」
 ルイさん
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