僕の生まれた理由
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人がそう言った。
「慣れるだろうしさ。今までの猫だってそうじゃない」
「そうかしら」
「今は弱くたって強くなるよ。最初だけじゃわからないっていつも言ってるのはお母さんじゃないか」
「けれどね」
「けれどねもないよ。もうもらってきたし。いいだろ?」
「そうだな、健二がそう言うのなら」
大きな男の人が頷いた。
「そうしよう。いいね、母さん」
「わかったわ。お父さんがそう言うのなら」
「じゃあ決まりだね。おいで」
小さい人が僕に声をかけてきた。
「僕達がこれから御前の家族になるかな。宜しくね」
それを聞いて僕はないて応えた。何と言ったのかは覚えていない。
「可愛いね」
「ええ」
大きな女の人もそれを聞いて頷いた。
「御前のお友達もいるからね。ちゃんと挨拶するんだよ」
お友達と聞いて最初何のことかわからなかった。キョトンとしていると一匹の大きな猫がやって来た。緑の目をした白い猫だ。けれど足と耳は黒かった。
「あんたが新入りね」
「は、はい」
僕はその猫に挨拶をした。
「あたしはケムンパス。メスのシャム猫よ。宜しくね」
「シャム猫って?」
「ああ。知らないの。猫の種類のことさ。あたしはシャム猫って種類の猫なの」
「そうなんですか」
「他にもいるけどね。あたしが一番歳くってるけど」
「そうは見えないですけど」
「身だしにはね、気を遣ってるから」
ケムンパスさんはそう言ってにこりと笑った。顔立ちは怖いけれど優しい笑みだと思った。
「じゃあこっちにおいで。皆がいるから」
「はい」
こうしてケムンパスさんに連れられて僕はこのおうちのそのお友達への挨拶に行った。ベッドという大きな四角い場所に何匹かの猫達がいた。
「新入りよ、皆」
ケムンパスさんが僕を紹介してくれた。
「名前はまだないけれどね。オスよ」
「あれ、わかったんですか?」
「そんなの一目でわかるわよ」
ケムンパスさんはそう言ってまた笑った。
「すぐにね。それに昔は色々と酷い目に遭ったみたいだね」
「あの、酷い目って」
僕はそれを聞いて驚いた。
「僕生まれてまだ少ししか経っていないですけど」
「そのうちわかると思うわ、それも」
「?」
考えたけれどわからなかった。ケムンパスさんの言葉の意味がわからなかった。
「まあこの家にいたらそんな心配もないから。ここの人達はいい人達ばかりだしね」
「はあ」
「何かしてくる奴がいてもあたしがいるからね。大丈夫だよ」
「ケムンパスさんがですか」
「そうよ。ケムンパスさんはとても強いんだから」
「あなたは」
見れば黒猫がいた。僕に話し掛けてきていた。
「タ
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