任務【春海提督、はじめての着任! 艦隊の指揮に入られよ!】
第01話
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守府に辿り着いたのはいいが、出迎えらしいものもなく、誰かに聞こうにも周囲には誰もいない。
とりあえずそれらしい建物の、それらしい入口を見つけたので、扉をノックしてみる。
「すいませーん、今日からお世話になる提督ですけどー」
返事が無い。
お留守かな? ……そんなわけない。
俺は溜息をつきながらそっと扉を開く。
鍵がかかっていない、極秘裏なくせにずいぶんと不用心だ。
「……おじゃましまーす」
おそるおそる中へと入ると、突然背後から声をかけられた。
「提督ッ! おはようございますぅ!」
「んひゃあ!! え!? 提督?! そんなに偉い人がいるの!? どこどこ? どこにいるの? って、提督は俺かぁ!!」
すっかりパニックになっている俺を、目の前にいる少女が不思議そうに見つめている。
歳の頃は、どう見ても中学生……いや、小学生か? ……この少女も写真の少女と同様、金属の塊みたいな兵器を身につけている。
「提督? どうされましたかぁ? ぼんやりしてないで、司令官室にいきましょうよぉ!」
俺は少女に背中を押され、司令官室とやらに連れて行かれた。
「さッ、今日も一日がんばりましょうねッ! では、さっそくご命令を、提督ッ!」
なにがなんだかわからないままに、俺は司令官室に通され、司令官の椅子に座らされた。
そして少女は目をキラキラさせて、いまかいまかと俺の命令を待っている。
「えーと、あー、命令? いきなり命令とか言われてもなあ、逆に誰か俺に命令してくんないかなあ……あの、何していいのかわかんないんですけど」
俺は困り果てた顔をしながら髪を掻きむしる。
そして目の前にいる少女をまじまじと見つめる。
「?? なんだろう、不思議な格好をしているなあ。機械的というか、それなのに妙に女の子らしい服装をしているというか……っていうか女の子? なんで女の子? ここ、海軍だろ? そういう場所って女人禁制くらいな勢いがあってもおかしくないと思うんだけどなあ……ああ、わけがわからん……」
俺は少女を見つめながらぶつぶつと呟き、完全フリーズしてしまう。
「提督? どうしましたですか、提督? おーい、提督? あれ? 生きてるのかな?」
“がッつぅぅんッ”
少女は手に持っている金属の塊のような装備品を、提督である俺の頭におもいきり打ちつける。
俺の目の前で火花のような星が飛び散り、鼻の奥の方から血の匂いがした。
「いってぇぇぇッ! 何すんだよぉ! ちょっとだけ死を感じたぞ!」
「あ、提督、生きてたぁ」
少女は俺ににっこりと笑いかけ、ぴょこんと跳ね上がる。
「さッ、ご命令をッ! 提督ぅ!」
――――――
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