第二十一話 希望
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『…ス。……ックス。エックス』
目を開けると、白い豊かな髭を持った老科学者が優しげな目で自分を覗きこんでいた。
この老科学者は自分やゼロ、ルインを強化してくれた人。
周りには古い型の設備が並んでいた。ここは何処だろう?
エックス『あな…たは…?』
胸までしかない状態でカプセルのようなもの寝かされている自分は老人に問う。
すると老人は嬉しそうに答えた。
ライト『私の名前はトーマス・ライト。お前の生みの親だよ。エックス』
エックス『エックス……それが…私の…な…ま…え…』
再び意識が落ちる。出力不足だろう。
ライト『エックス…そう、無限の可能性を意味する名前だ。お前は自分で考え、行動する新しいタイプのロボットになるんだよ』
場面は変わっていく。
この頃エックスは組み立てが終了し、後は微調整を残すのみとなっていた。
しかし、その日会いに来た博士は窶れ果て、憔悴しきっていた。
いつもと様子が違うことを、外の様子を知らないエックスでもすぐに察した。
エックス『どうしました?博士…お疲れの様子ですが…』
ライト『エックス。お前は本当に人間と同じようだな…だがそれだけに…ゴホッゴホッ…お前のように極めて自分達に近い存在を受け入れるには、まだ人類は幼すぎるかもしれん…人はお前の無限の進化の可能性を危険と感じるかもしれない…“エックス”という名前には危険という意味もあるのだ。』
暗転。
場面が変わり、自分が老人と話せる最後の日だと…何となくだが分かった。
ライト『すまないエックス…。お前を世の中に出してやるには、時間が足りなかった…』
更に窶れた老人は、掠れた声で最後の“息子”に詫びた。
そこまで言うと、ライトは咳き込んだ。
医療に関して無知な今のエックスにも分かるくらい呼吸系の異常は明らかだった。
エックス『ライト博士!!』
ライト『わしはお前に悩み考え、そして進化を戦いとる力を与えた。だが、それをまだ解放するわけにはいかないのだ』
それは実質のエックスの封印宣告であった。
だが、エックスの中にあったのは恨みでも悲しみでもない、1つの決意だった。
エックス『博士。私はこの力を正しいことのために使います。希望のために!!』
バスターを胸に翳し、エックスは老人に誓った。
ライト
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