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覇王と修羅王
合宿編
二十一話
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伏せた。
 随分とらしくない事をしたものだ。ムキに成ってたとは言え、擽るのが目的とは言え、自ら襲い掛かるとは……、等と頭の中で巡回しながら。もうヴィヴィオと初めてスパーリングした時、アレクに奇襲した事など頭から抜け落ちていた。

「……ま、積もる話は後にしよっか。そろそろ時間だしね」

 時計を見ればそろそろ約束の通信時間に差し掛かり、共に居るクリスも先に進めるようジェスチャーを飛ばしている。興味をそそる話だが相手を待たせては失礼に当たるので、ルーテシアは後で確り問い詰めると誓いながら通信を繋げた。

「ちぃーす、アギト」
『おぃーす、ルールー。例の件だよね? 呼んでくるからちょっと待ってて」

 呼んでくる相手とは、音に聞こえた八神はやて司令だろう。
 どんな人なのだろう。司令というからには、厳格な人なのだろうか。そのような人に依頼するのだから、失礼があってはいけない。そう思いアインハルトは身を正すが、隣に座るアレクはだらけきっていた。

「……アレクさん、もっと姿勢を正してください」
「あんでだよ」

 アインハルトが軽く睨むが、アレクはすまし顔で流す。
 アレクはデバイス作製を依頼する気もインターミドルに出る気も皆無なので、印象を悪くした方がなにかと都合が良い。
 だが、アインハルトにとっては悪手である。デバイス作成してもらわないとインターミドルに出場できない上に、誘ってもらったヴィヴィオ達に申し訳が立たない。

『こらこら、喧嘩はあかんよ?』
「す、すみませ――――っ!?」

 笑いを含んだ声が通信を通して聞こえ、アインハルトは背を伸ばしながら振り向くと、人では無いモノが居た。アギトともう一人、リインの間に狸が居る。狸が片手――――と言うか前足を上げて、肉球を見せて振っている。見間違いかと何度か瞬きをしたが、狸には変わらなかった。
 八神はやてとは、人では無く狸だったのか!? 目が毀れそうな程に見開らくアインハルトに狸は満足そうに頷くと、ボンッ! と煙を立てて人の姿に変わった。

「今日は随分と手が込んでますね〜」
『司令っちゅー肩書きで縮まれてもなー、って力み取ろうかと思ったんやけど、普通にやってもつまらんやろ?」
「なぁ〜るほど。でも事前に言ってもらえれば、此方も有る事無い事吹き込んだりして面白可笑しく準備しましたよ?」
『あっはっは〜。それはまた今度やろか?」

 化かされた、のだろうか。此方の緊張を解く為にやった事かもしれないが、してやられた感が強い。

「こんなのが司令とか……大丈夫なのか管理局?」

 ぼそりとアレクの呟きがアインハルトの耳に届くが、咄嗟には苦言できなかった。八神はやてという人物像が掴めず、否定要素が見つからなかった故に。
 だが、相手には聞こえてなか
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