31話
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コクチョウに戻った後、私は人を殺した事実の為に手の震えを止めるすべがありませんでした。。
そのために、会談の時間まで休んでおくように言われて、自室に戻り休んでいましたが、いざ一人になると殺した人たちの怨嗟の声が聞こえてくるようで余計落ち着かなくなっていました。
そして、急に吐き気がし、トイレに駆け込み嘔吐しました。
その際、胃の内容物が無くなっても胃液を吐き続けました。
しばらく、吐き続けてに落ち着いたのか、やっと、トイレから出ることが出来ました。
「本当に情けないですよね。こんな調子で持つんでしょうか。」
「何が情けないの。」
「セシルさん。」
「戦争に参加する以上、人を殺す事になるだろうという事はわかっていました。ですが、覚悟していたつもりになっていたのでしょう。実際に殺してしまうとこんなに不様な事になって締まった。情けない事です。」
「そんな事ないと思うわ。戒君が必死だった事はよくわかるから。そして、貴方が置かれている現状も。」
「私はその言葉に逃げていただけですよ。そんな、情けない存在なんですよ。」
「人である以上、弱さはあるものよ。あなたでもね。こっちに来なさい。」
そう言われて近づくとセシルさんが膝枕をしてくれました。
「私の仕事が終わったから時間までこうしてあげる。少し休みなさい。
私自身、膝枕などしてもらった記憶がありませんでした。
母親の記憶は忌まわしいものとして忘れましたし、物心のついてからは甘える事を捨てて、父親に迷惑を掛けないようにしていたので甘えることが出来なくなっていました。
よくよく考えれば、私の性質は子供のころから作られたようです。
しかし、私は甘える事の出来る存在が欲しかっただけなのかもしれません。
何故ならば、今、膝枕をしてもらいただ頭を撫でられているだけだというのに、先ほどまで感じていた罪悪感などが無くなっている為です。
我ながら現金な物です。
その内、眠気が襲ってきて、そのまま、意識が無くなりました。
「戒、起きて。戒、起きて。」
そんな声を聴いて、意識が浮上してきました。
目を覚ますと自室のベッドの上でした。
どうやら、誰かが私をここまで運んで来てくれたようです。
そして、気づくと膝枕の上で無い事に寂しさを覚えていました。
そして、不思議と罪悪感が薄れていました。
やはり、自分の心に現金な物を感じ、セシルさんに感謝しながらも体を起こします。
「どうしたの、戒。」
「何でもありませんよ。」
「そう。」
「もう時間ですか。」
「もう30分前だから、呼んで来てほしいって、ジェイルが言ってた。」
「そうですか、準備をしたら行きますので外で待っていてください。」
「わかった。」
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