第十四話 幻の力その十二
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「それでもな、八条グループ関係だろうな」
「就職はなの」
「ああ、そうなるだろうな」
こう裕香に答えた。
「まあそんな先のことはわからないけれどな」
「とりあえずは大学ね」
「進学するつもりだよ」
「成程ね、じゃあ」
「ああ、その為にもな」
「授業出ようね」
「そうしような」
こう裕香にも応えてだった、皆それぞれのクラスに向かった。この時誰も今は授業のことを考えていた。それでだった。
遠くから、別の校舎から一同を見る二人のことについては気付かなかった。その二人は共に八条学園の制服のうちの一種類を着ていた。
一人、ショートヘアの少女が自分の隣にいるロングヘアの少女に問うた。
「姉さん、あの人達は」
「ええ、同じね」
姉と呼ばれたロングヘアの少女はこうショートヘアの少女に答えた。
「皆」
「そうね、同じね」
「面白いことね」
ロングヘアの少女はこう言って声を微笑まさせた。
「あの娘達も私達と同じなんて」
「私達だけじゃなかったのね」
「力を持っているのは」
「ではね」
ショートヘアの少女はここでこうも言ったのだった。
「あの娘達の誰かに会ってくるわ」
「そうするのね」
「面白そうだから。ただ」
「ただ、なのね」
「あの娘達と馴れ合うことはね」
それはというのだ。
「ないわ」
「そうなのね」
「ええ、それは姉さんも同じよね」
「勿論よ、私もね」
ロングヘアの少女にしてもだというのだ。
「そうした趣味はないわ」
「私達は二人で充分だからね」
「そういうことね」
「ええ、ではね」
「会うだけにして」
「後はこれといって関わることもしないわ」
こう姉と呼ぶ少女に話すのだった。
「姉さんとだけいるから」
「そういうことね、私もそうするわ」
薊達とは関わらないというのだ。
「二人だけでね」
「ええ、これからも戦っていきましょう」
こう話してだった、二人の少女達は薊達を離れた場所から見てからその場を後にした。残ったのは日差しに照らされたコンクリートの校舎の屋上だけだった。
第十四話 完
2014・4・17
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