第十四話 幻の力その十一
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「自分自身で大人になってからな」
「調べることになっていたのね」
「ガキの頃にそういうこと知ってもな」
「ショックを受けるから」
「中には、まあ色々あるものだからな人間って」
薊は話しているうちに自分の口の中が苦くなっていることがわかった。人間の出生のことも嫌な話があったりするからだ。
「本当にな」
「そうよね、何かとね」
「あたしだってな、どんな親父とお袋だか」
「わからないから」
「ああ、それでだよ」
だからだと言うのだった。
「そういう話は怖いな」
「そうなのよね、私も本当のお父さんとお母さんのことは気になるわ」
菊がここでまた話に入って来た、そして他の四人も無言で頷いていた。
「けれど知るのが怖くもあるわ」
「だよな、それは」
「そのことが私達の謎に関わってる可能性は高いわね」
「そのことは相当な」
可能性が高いとだ、薊も応える。
「どんな親か、だよな」
「このことが鍵かしら」
「かもな、本当にどんな親だか」
「怖いけれどどうしてもね」
「気になるよな」
薊達は彼女達を取り巻く多くの謎の鍵に気付いたのだった。それは他ならぬ彼女達の両親のことであった。
そのことを話してだ、そのうえで。
今は話は収まらないと思った、それでだった。
薊達にだ、智和はこう言った。
「さて、ではね」
「はい、そろそろですね」
菫が智和のその言葉に応えた。
「授業ですから」
「それに行こう」
「そうですね、それでは」
「授業は出ないとね」
学生の本文を果たすべきだというのだ。
「それが僕達の仕事だからね」
「授業な、次確か世界史か」
薊は自分の次の授業について少し微妙な顔になって述べた。
「名前覚えるの大変だよな」
「そうかしら、私は別に」
「あたしややこしい名前苦手なんだよ」
薊は今度は少し苦笑いになって裕香に返した。
「どうにも」
「あっ、そうなの」
「だからな、ちょっとな」
「世界史苦手なの」
「一応赤点は取ってないけれどさ」
「そうよね、薊ちゃんそんなに成績悪くはないわよね」
「これでも結構苦労してるんだよ」
学校の勉強については、というのだ。
「実際な」
「そうなのね」
「大学も行きたいからな」
薊は将来のことへの考えも述べた。
「実際な」
「お金はあるのよね」
「院長先生が用意してくれてるんだよ」
ここでもこの人のことを話に出すのだった。
「とはいっても八条学園限定だよ」
「孤児院が八条グループが運営しているからよね」
「そう、だからな」
それで八条学園にだけだ、学費が出るというのだ。
「奨学金みたいなものだな」
「それで大学に入って」
「そこから先はまだ考えてないけれどさ」
就職のことはというのだ
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