第十四話 幻の力その十
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「ちょっとな」
「うん、しかも薊さんは別にして」
「私達はね」
菊もここで言う。
「皆八条町に揃っててね」
「そのことも不思議だね」
「?じゃあどういうことだよ」
今度は首を傾げさせつつ言った薊だった。
「孤児が全員力を持っていてしかも皆この町に集まってて」
「怪人が襲ってきてね」
「何だよそれ、目茶苦茶有り得ないよ」
「だから不思議なんだよ」
智和はあざみに自分も考えている顔で述べた。
「君達のことを考えているとね」
「何か、これは」
菖蒲がここで言うことはというと。
「誰かが仕組んでいるのかしら」
「あたしがここに来たのはさ」
横須賀で育っていた薊の言葉である。
「急に孤児院の院長さんに言われたんだよ」
「この学園に転校しろとだね」
「ああ、そう言われてさ」
だからだというのだ。
「ここに来たんだよ」
「そうだったんだね」
「何か、あの口調だと」
智和に話しながらだ、この学園に転校する直前にその院長に言われたことを思い出しつつだった、薊は述べる。
「最初から決めてたみたいだな」
「君をこの学園に転校させることを」
「ああ、あたしが高校二年になったらな」
「そのこともおかしいね」
「今思うとどうしてなんだ?」
薊は怪訝な顔にもなった。
「不思議だな」
「一回院長先生に聞いてみる?」
「あたしをここに送った理由か」
「ええ、そうしてみたらどうかしら」
裕香は怪訝な顔になった薊にこう提案した。
「ここはね」
「そうしてみるか、けれどな」
「けれど?」
「院長先生も大事なことはな」
「それならっていうのね」
「お話してくれないだろうな」
薊はこのことを推理して言った。
「話せることと話せないことってあるからな」
「大事なことは」
「ああ、お話してくれないだろうな」
「そうよね、薊ちゃん達の事情って相当なものだから」
「人間って話せないこと多いからな」
「そう、多分だけれどね」
「実際どうなのか知っていてもな」
その院長、自分にとって親と言っても等しいその人のことを思い出しつつだ、薊は推理している顔のまま言うのだった。
「親でも全部言えないっていうしな」
「うん、夫婦の間でもっていうわね」
「誰にも言えないことか」
「薊ちゃんのことはそうなると思うわ」
「実の親とかな」
薊はここで自分の出生についても考えて述べた。
「そういうのだよな」
「そう、誰でも人間ならね」
それならばとだ、裕香は薊に話す。
「親がいるから」
「親父とお袋がな」
「そのことは絶対だからね」
「桃から生まれたなんてないからな」
「実際はね」
裕香もそのことは絶対だと言う。尚桃太郎は原点ではその川に流れてきた大きな桃を食べて若返った爺さ
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