第十四話 幻の力その九
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「そうした意味でもいいスポーツです」
「だからしているのね」
「そうです、テニスは大好きです」
桜はにこりと笑ってこうも言った。
「いい汗をかけます」
「戦いにも役立てているわね」
「そうしていますね、フットワークを」
「脚は戦いにおいては最も重要な場所よ」
「動きますから」
それ故にだ、手より足が大事になるのが戦いなのだ。
「そしてそこを攻める薙刀は」
「それだけでかなり強いけれど」
「菫さんはそれに安心しておられませんね」
「わかっているわね」
そこが、というのだ。菖蒲も。
「あの娘は強いわ」
「頼りになる仲間ですね」
「ええ、そうなるわ」
菖蒲は今も表情を変えていないがこう言ったのだった、そうした話をしてそうしてだった。闘いを終えた菫はあらためて薊達の仲間になったのだった。
それが終わってからだった、智和はふとこんなことを言った。
「そういえばだけれど」
「そういえばって?」
「どうかしたのですか?」
「うん、君達だけれどね」
薊と裕香に応えるのだった。
「六人共二年生だね」
「あっ、そういえばそうだな」
「私は戦わないですけれど」
それでもだとだ、裕香も言う。
「皆そうですね」
「うん、二年生だよね」
「奇妙な一致だよな」
薊は腕を組み考える顔になって述べた。
「このことって」
「そうだね、しかもね」
「孤児だからな」
このことは薊から言った。
「六人共」
「このことも同じだね」
「孤児なのはわかってたにしても」
薊は他の五人、力を持っている彼女達を見つつ智和に話した。
「全員二年生か」
「今孤児っていってもね」
「減ったよな」
「様々な家庭の問題はあってもね」
「親が両方共わからないっていうのはな」
そうした子は、というのだ。
「もうあまりいないよな」
「うん、時代が安定しているからね」
「同じ学校で同じ学年に孤児が六人か」
「ちょっと多いね」
「八条学園は生徒数目茶苦茶多いけれどな」
薊達が通っている高等部普通科でもだ、生徒数はかなり多い。
「それでも孤児六人って」
「そうはないね」
「滅多にないよ」
「薊さんがいた孤児院もだね」
「ああ、あたしは親父もお袋もわからないけれどな」
全く、である。薊の両親が何処の誰なのか誰も知らない。孤児院の前に赤子の彼女が捨てられていただけだったのだ。
「他の奴はな」
「違ったよね」
「親が両方共わからなかったのはあたしだけだったよ」
「他の子はだね」
「色々事情があったにしてもな」
それで孤児院にいても、というのだ。
「どっちかの親はわかってたよ、両方わかっていたりな」
「そうだったね」
「完全な孤児ってな」
それこそ、というのだ。
「あたしだけ
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