第5章 契約
第93話 高貴なる魔術師
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ちが一閃。しかし、鮮やかに半月の光輝の帯を描いた勝利をもたらす光輝の一閃は、吸血鬼ヨナルデパズトーリの身体に触れる事さえなかった。
しかし、振り抜かれた剣に確かに感じる手ごたえ。そして何もない空間から、バシッと言う、まるで何かを斬り裂いた時に発生する響きを感じる。
そう、この時、俺は間違いなくヤツ――吸血鬼ヨナルデパズトーリの精霊の護りを斬り裂いて居たのだ!
遅れて放たれる魂を震わす咆哮。自らの防備を完全に破られた事を悟った怒りの咆哮が森に木霊し、周囲の樹木が、大地が一瞬にして枯死して仕舞う。
しかし、それは所詮、精霊の護りも持たない一般的な生命体に対しては有効な吸精術。俺やタバサには一切の害を与える事など出来はしない。
俺の剣が振り抜かれ切る前に急制動。僅かに左足を滑らせるだけに止め、左足にタメを作りながら右足を一歩引く。
急制動。その一瞬のタイムラグ。
やや身体を屈めた俺の右肩に軽い衝撃。その瞬間、普段通り彼女に勢いを付ける為に生来の能力を発動。
俺の右肩を踏み台にして宙を舞う彼女の右手には、如意宝珠『希』により正確に再現された七星の宝刀が彼女の行……水行に相応しい黒曜石の輝きを放つ!
タバサの蒼き髪の毛が神速により発生する風に揺れ、凍てつく冬の大気を七星の宝刀が切り裂く。
その瞬間!
音を切り裂いた剣先が発生させる破壊の牙が前方へと扇のように広がり、立ったまま枯死していた異世界の吸血鬼の背後の巨木を次々と斬り払って行く。
交錯は一瞬。仮面の左の頬より侵入した宝刀がそのままの勢いで仮面と、その仮面に隠された吸血鬼の素顔に黒曜石の断線を作り出して居た。
そして、タバサの攻撃に遅れる事一瞬。剣を右肩の位置に構え、そのままの姿勢で吸血鬼に向かい跳び込む俺。
俺の霊気の活性化に伴い、眩いまでの蒼き光輝を纏った刃が一直線に胸の扉……テスカトリポカの住む異世界へと繋がる次元孔と化していた胸の扉を貫通。
その瞬間に僅かに手首を捻り、同時にヤツの体内にありったけの霊力を叩き込む。
原理は異界へと通路を閉じる際とほぼ同じ。但し、今回は相手が術に対する抵抗を行う為、通常の場合よりも巨大な霊力が必要と成る。
一歩間違えば、俺の霊力が暴走を開始。そのままテスカトリポカの魔界へと通じる次元孔は閉じる可能性が高いが、それ以外の場所に通じる次元孔が開く可能性が大。さりとて、加減を行った挙句、テスカトリポカの魔界に通じる次元孔を完全に閉じる事が出来なければ、タバサが破壊した翡翠の仮面を修復され、また一からやり直し。次は、物理反射や魔法反射。それに呪詛防止の術もない状態で、この仮面の吸血鬼を相手にする必要が有る。
流石にそれは出来ない!
猛烈な勢いで仮面の吸血鬼に体
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