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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その1)
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で後ろから撃ってやると……、弟の復讐だと言って……」
途切れ途切れの少佐の言葉に皆がコルプト子爵に視線を向けた。
「な、なんだその眼は。あの平民に復讐するのは当然だろう」

「や、止めてくださいって、頼んだんです、……そうしたら、あ、あの男の事が好きなのか、あの男と、ね、寝ているのかって……。あの男を、助け、たいなら、自分の言う事を聞けって……」
「う、嘘だ、いい加減な事を言うな!」

コルプト子爵が叫んだ。その声にヴァレンシュタイン少佐が怯えた様な表情を見せフレーゲルに縋りついた。フレーゲルの手が少佐を強く抱き寄せる。その手を離せ! 厚かましい!

「ひ、酷い、わ、私、嘘なんか吐いていません。その後、子爵がいきなり私の服を破いて……。フレーゲル男爵が来てくれなかったら、私……」
「大丈夫だ、フロイライン」
フレーゲルが囁くように少佐に話しかけると少佐が頷いた。

「う、嘘だ! その女が自分で破いたんだ! 私じゃない!」
「違います、子爵が破いたんです」
「嘘を吐くな!」
コルプト子爵が少佐に近づくと少佐がフレーゲルに強くしがみついた。またフレーゲルが少佐を強く抱きしめた。

「コルプト子爵、近づくな!」
「その女は嘘を吐いている! 私を信じてくれ、フレーゲル男爵」
「そこを動くなと言っている!」
フレーゲル男爵とコルプト子爵が睨みあっている。不本意だ、極めて不本意だ。どうしてフレーゲルが正義の味方なのだ。何故俺がフレーゲルの味方をしなければならない……。

「そこを動くな、コルプト子爵。少佐の服を調べれば全てが分かるだろう。卿の言う事が真実なら少佐の服には卿の指紋は付いていない。少佐の言う事が真実なら卿の指紋が付いているはずだ」
「そ、それは」
コルプト子爵の表情が強張った。こいつ、やはり嘘か。

「どうした、服を破いたのは少佐なのだろう? 問題は無いはずだ」
コルプト子爵の目が落ち着きなく動いている。
「……そ、その女の服に触った、……だが服は破いていない、本当だ、信じてくれ、その女が触らせたんだ」

もう少しましな嘘を吐け。
「信じられんな、卿の言う事は一貫性が無い。後は憲兵隊に任せるべきだろう。弁解はそこでするとよい」
「不本意だがミューゼル大将に同意する」
何が不本意だ、この野郎。こっちの方が不本意の極みだ。

その言葉に触発されたかのように憲兵隊が動き出した。コルプト子爵の両腕を抑え部屋を出て行く。子爵が自分の無実を訴えているが誰もそれに応えようとしない。本来なら子爵を連れて行くなど有り得ない事だが今回はフレーゲルが正義の味方になっている。憲兵隊も遠慮する必要が無いと判断したのだろう。



憲兵隊の調査は迅速に行われた。出兵前に処分をしておきたいと言うミュッケンベル
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