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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
21.Jury:『Deep Blue』
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下げ、石作りの門扉を抜ける。以前に聞いた話では、切り出した天然石材を並べたらしい、メゾンの四方を覆う壁。その、唯一の出口を。

「あ、そうだ。昨日、固法ちゃんって女の子から電話があったわよ? よく解らないけど、『明日、支部で心待ちにしてます』って。モテモテね」
「…………」

 忘れていたかった事を、思い出しながら。


………………
…………
……


 とぼとぼと歩いてきた嚆矢が、道々買った缶珈琲……の、当たりで得た二本目のプルタブを空けながら支部の休憩室の席に着く。
 大方の予想通りに美偉に搾られただけだ。その様子は余りにテンプレートな状態だったので、割愛させていただく。

「ま、自業自得だな」
「うるせーやい……」

 『巨乳』Tシャツのおむすび頭な巨漢くんが笑いながら肩を叩いた。それを顔も上げずに右手で払――――おうとして、余りの痛みに止めた。

「じゃ、俺達はもう仕事有るから行くわ」
「何にしても、ちゃんと後輩の面倒は見なよ?」

 と、他の風紀委員の面々も去っていく。気になる台詞を呟きながら。

「白井さん、昨日『偏光能力(トリックアート)』とか言う能力者の捕り物で怪我したらしいし」

 その、矢鱈とペットボトルを持った女生徒としては、何の気なしに言っただけだろう。しかし――――刹那、誰よりも早く扉を潜った影。

「……あれ? 対馬くんは?」
「……今、物凄い勢いで走っていった」

 ぽかんと辺りを見回した女生徒、それに答えたのは学生帽子に眼鏡の長身の生徒。

「ま、責任取らなきゃいけねぇのは間違いないけどな」
「だよねぇ、一応は最年長なわけだし」
「ね〜」

 どう見てもお前の方が不良だろうと言いたいスキンヘッドの学生と、小学生らしいランドセルの金髪の少年、小学生にしか見えない茶髪の学生。そんな、風紀委員達の会話があった。


………………
…………
……


 支部の一室、堅く施錠されたその部屋。中では一体何が行われていると言うのか、誰も彼もの侵入を拒むよう。

「全く……どんどん怪我が増えてますね、白井さん。妙齢の女の子としてはどうなのかと、最近思うわけですよ」
「それがわたくし達の仕事なのですから、これくらいどうと言うことはありませんの。それより初春、対馬先輩の事でなにか伺ってませんの? 全く、あの方にも困ったものですわ、お陰で固法先輩の機嫌が悪くなる一方ですもの」

 本来なら、外部からのあらゆる接続を拒絶する扉。『ある人物』により最新鋭のセキュリティに匹敵する電子防壁(ファイヤーウォール)を持つこの支部の、ここに挑むくらいならば警備員(アンチスキル)の支部にハッキングを仕掛ける方がまだ楽な、そんな扉。

「ええっと、で、
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