14:当然の代償
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一人であるキリトと渡り合えているとなると、それと似たプレイヤーの一人や二人、仮にユミルの存在を知らずとも自ずと出てくるものなのだが……
「……ホント、あなた達は鋭いわね。その通りよ、アスナちゃん」
マーブルは心底感嘆するように肩を一度浮かせる。
「だけどね、こうなるのは自然なことなの。……なぜなら、仮に他の人がユミルのビルドを知っていたとしても、誰一人として真似はしないでしょうからね……」
「それは、どういう意味なんです?」
「…………この決闘が終わる頃には、きっと分かるわ」
「……マーブルさん? …………?」
マーブルは何やら意味深にそう言い残し、それきり黙ってしまった。
その後、しばらくキリトとユミルの一歩も引かない勝負が続いていたが、ついに動きがあった。
「ぉ……りゃぁぁあっ!!」
「うぐっ!?」
ユミルが今までとまるで違った一撃を放ったのだ。
叫びをあげ大地を抉りながらの、筋力に物を言わせた両手斧ならではの豪快な振り上げ攻撃。両手斧単発中級スキル《アース・ダッシャー》だ。大下段――半ば地中に刃を沈ませる程の下段――から、土砂ごと敵を力任せに打ち上げるという極めてパワフルな、スタイリッシュなソードスキルがほとんどのSAOでは珍しいソードスキル。
キリトは足元からの強烈な斬撃を剣で防御するも、それを正面から受けた彼は土砂エフェクトと共に空高く数メートル打ち上げられた。しかしキリトは慌てず、上昇から下降を始める前に空中で体をくるりと一回転させ、着地に備える。
が……
「……これで終わりだよッ!!」
その時、勝利を確信したユミルの鋭く怜悧な叫び声が響き渡った。
ユミルは宙にいるキリトを追い討ちすることなく、その間に今度は赤いエフェクトを帯びた斧槍を水平に向け腰を捻り、体いっぱいに引き絞ってスキルのチャージ体勢を整えていた。
「はぁぁぁぁあ……!!」
その気合いに呼応するかのように、斧槍を取り巻くピュアレッドのエフェクトがどんどん膨らみを帯びていく。
……明らかに着地の瞬間を狙い、待ち構えている。
相手が打ち上げられている場合、無闇に宙への追い討ちをするよりも、着地の際にどうしても出来てしまう一瞬の隙を突く方が賢明なのだと、彼女はよく心得ていた。
いかなキリトといえど自然の重力には逆らえず、体が地に迫る。
「くっ……!?」
トドメを差そうとするユミルを目の当たりにし、その目が驚きに見開かれた。
そして、ユミルの槍斧が一際大きく輝き――
「――《ヴォーパル・チャリオット》!!」
渾身の叫びと共に、限界まで引き絞った体から猛烈な突きを繰り出した。ジェットエンジンのような轟音と共に突
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