14:当然の代償
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それを受け止める剣の互いの刃が拮抗し、それは、十字の形をした禍々しく燃える青い雷の激しい衝突エフェクトを生成する。
「まだだっ、もっと俺に力を見せ付けてみろ、ユミルッ!!」
「馴れ馴れしくボクを名前で呼ぶなぁっ!!」
気が付けば、オレンジの火花飛び散る激しい剣戟の中、ついにソードスキルも織り交ぜた青い火花も入り混じる、目まぐるしいド派手な競り合いが繰り広げられていた。
「……あれがユミルの本領よ。ハルバードを手に《斧》と《槍》スキルを駆使しながらも、通常攻撃と動きの基本形は、誰よりも巧みに乱舞する《両手棍》使い。それに、ただ単にその三つの要素が合わさっただけじゃなく、棒捌きやパリイングも得意で、何よりも攻撃速度に限っては、あの通りトップクラスのトリッキーな超攻撃型アタッカー。……あの子もなかなかやるもんでしょう?」
マーブルは衝撃の余波でウェーブのある髪を揺らしながらも、涼やかな顔で腕を優雅に組みながら観戦に浸り込んでいる。
「……ちょっと待って。なんかおかしいよ」
だが、アスナが目を二人から移すことなく声を上げていた。
「おかしいって……どうしたのよ、アスナ?」
その目は真剣さに細められ、心なしかどちらかと言えば、ユミルの方に目が向けられている気がした。
「確かに、聞けばユミルちゃんのビルドは独特よ。でも、考えてみたらヘンよ。こんな強力なビルドがあるなら、誰だって真似して、似た人が何人も出てくるはずだよ。……そりゃあ、あのタクトみたいな綺麗な武器捌きやパリィに、振りの速度までは自身の熟練や素養に左右されるから真似をするのはすごく難しいにしても、同タイプの人が居る話をちっとも聞かないのはどうしてなのかなー……って思うの」
そのアスナの推測の言葉に、シリカも目を丸くした。
「あ……そうですよね。今でも、ハルバードを使うプレイヤーは軍以外だと、私もほとんど見かけませんし……」
「うーん、言われてみれば……」
たしかにそうだ。
それぞれの武器には相応のビルドを育てていくセオリーという名の傾向があり、決まってそれらは強力ゆえに人気とされている。例を簡易的に挙げるならば、細剣を扱うならば敏捷重視、片手直剣はバランス重視、大剣は筋力重視といったところだ。もちろん、中にはそれらに属さない、筋力重視の片手剣使いや敏捷重視の大剣使いといった異種プレイヤーも数多く存在し、人それぞれのプレイスタイルというものが確立されている。が、それにも自然とある程度グループ化される傾向があり、モロに統計学の元に従った結果となっているのだ。
しかしユミルの場合、どこを取ってもそういったグループに属さないビルド構成ばかりだ。なのにあの通り、トッププレイヤーの
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