14:当然の代償
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な笑みが戻り、火花を周囲に散らせながらも、滑らかな滑舌で喋り始めた。
「驚いたな……けど、パリィ勝負なら負けないぜ? ……ついてこい、ユミルッ」
「偉そうにッ! さっきまでボクに圧されてたクセに!!」
たちまちまた一段と激しい剣戟の舞う、苛烈極まる駆け引きが展開される。
だが、あたしは……一時はキリトを圧してのけた、本気のユミルのその乱舞には戦慄を覚えざるを得なかった。
武器を軽快に回転させながら、手数の多さで相手を圧倒するその戦闘スタイル。その姿はさながら……
「まるで……両手棍棒使いみたい……」
と、あたしは呟いていた。しかし……ここまで速く、華麗に、しかもシステムアシスト無しの通常攻撃で、実戦に活用できるまでに乱舞できるスタッフ使いをあたしは見たことも聞いたこともない。
普通のスタッフ使いは、スキルアシストの無い通常攻撃の際は、不器用に槍のように突いたり鈍器のように叩きつけたりするプレイヤーがほとんどだ。だが、それも当然のことなのだ。ナーヴギアを被る以前の生身だった頃に、棒を器用に振り回す経験なんてする人は、まず居ないのだから。
しかし、ユミルはハルバードの柄の中央を握る両手を主軸に、まるでアクション映画さながらの身のこなしで戦っていた。しかも、そのユミルが握る武器は両手棍ではなく、紛うことなき斧の一種なのである。
と、隣のマーブルはあたしの呟きを聞き取れていたのか、それを聞いて「まぁ」と僅かにその糸目を驚きに丸くさせていた。
「もうそこに気付くなんて、流石だわ。今から解説しようとしてたのに……その鋭い観察眼は、鑑定スキルの賜物なのかしら」
「いえっ、そんな……ただなんとなくそう思っただけで――わっ!?」
「――やぁあああっ!!」
「――せぁあああっ!!」
雄雄しい気合の叫びと金属がぶつかり合う音量が更に増し、戦う双方の中間地点からの衝撃の余波があたしたちの場所まで届き、言葉が途切れてしまった。
ユミルがリズミカルに三歩ステップで突き進みながら、それに合わせて横薙ぎ・大上段からの振り下ろし・突き上げの三連撃を繰り出す両手槍中級スキル《トリクル・セライド》を放ち、それをキリトの四連撃スキル《バーチカル・スクエア》がそれを迎撃する。破裂するような青い衝突エフェクトが三度迸り、キリトの最後の一撃がユミルを襲う。が、ユミルは硬直時間の少なさを活かし、細い柄を的確に片手剣の切先を捉えさせガードする。目の前でチチチ、と小さな火花を立てる剣の切先を、そのまま武器を回転させて弾きながら一度柄を握りなおし《バスター》を叩きつける。それを先読みしていたキリトが腰を捻りながらの渾身の単発水平斬撃スキル《ホリゾンタル》で食い止める。
縦に両断しようとする斧と、水平に
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