14:当然の代償
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ーポイントの場所をきちんと握っていたのだが、今のユミルは柄のやや中心部付近を両手で握っていたのだ。
「いくよっ!!」
ユミルは気合一閃と共に武器を後手に構えたまま、頭と片側の肩から突っ込む形でキリトへと駆け出した。時間に余裕があるキリトは的確かつ悠然と剣を突き出し、迎撃に備える。その甲斐あり、キリトは打ち下ろされたハルバードの一撃を極めてスムーズかつ最低限の動きでの回避に成功した。
が……
――ヒュヒュンッ!
その刹那。
ユミルのハルバードは重力と遠心力にしたがって地面に叩きつけられることなく、ユミルの両腕を軸に瞬時に回転し、空を切る音が鳴ったのだ。そして再び振り上げられた大刃が、初撃からほぼ間隔を空けることなくキリトを襲う。
「……なっ!?」
ギャリィン! と、半ば反射神経のみでパリィしたキリトは剣をすぐさま構えなおすも、表情は驚きを隠しきれていない。
「逃がさないよッ!」
余裕は与えんとばかりにユミルは追い討ちを続ける。1モーションの攻撃の度に槍斧がビュビュンと高速で唸り、幾重もの斬撃がキリトを襲う。しかも、激しくなったのは攻撃だけではない。キリトとの距離を詰めたまま、逃さないように常に足を突撃に駆け出させ、また攻撃の折間に柄の握る位置を変えてはリーチと威力を状況に合わせて変幻自在に調整している。
つまり、彼女はソードスキルのシステムアシストに頼ることなく、斧槍をプロペラの様に高速で回転させてはいくつもの斬撃を叩き出し……さらにその合間に、これまで繰り出していた、洗練された振り降ろしや突き、横薙ぎの一撃を巧みに織り交ぜて攻撃しているのだ。
――それは、ただただ驚愕するしかない、どこまでも冴え渡った棒捌きだった。
その姿は、勢い良く回転するハルバードのこともあり、さながら敵を取り囲み切り刻む竜巻のような、そんな圧倒的なまでの手数だった。避ける事もままならなくなったキリトは、やがてその全てをパリイングで弾き返そうとする。
局面こそ最初のパリィ合戦と同じだが、今度はユミルが圧し進みながら、キリトは受け流すべく後退を続けながらの一方的な展開。
「す、すごいっ……キリトさんを圧してるなんてっ……!?」
シリカの驚きの声に、顎に指をやりながら冷静沈着に戦いを見届けていたアスナが首を軽く横に振った。
「ううん、よく見て。……キリト君も、負けてない」
……やがてその言葉通り、キリトの後ずさる脚の動きが徐々に鈍っていく。
キリトが早くも応酬を全て見切って捌ききり、逆に反撃をし始めたのだ。
……なんて飲み込みの早さなのだろうか。本当にキリトという人間の力の奥底が知れない。
その力の証拠に、いつの間にかキリトの顔には、いつもの人を食ったような不敵
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