14:当然の代償
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《バスター》。だが熟練されているのか、元々の攻撃速度と相まって予備動作を含めた振り下ろしの速度が凄まじい。キリトはそれをすぐさま察知し、避けることを諦め横手に剣を構え受け止めた。
「くっ!」
ガギィン! という耳をつんざく高い音が鳴り響き、衝突するユミルの斧とキリトの剣の間にギチチチと激しい火花が散る。
「このぉっ……!」
「うおぉっ……!」
唸りと共に力がぶつかり合う鍔競り合いを眺めながら、マーブルの言葉が続く。
「ユミルは習得するスキルの数をかなり絞っているの。だからご覧の通り、習熟の具合が疎らになることはないわ。それに、連撃数の少ない代わりに事前動作や硬直時間も少ない初級・中級スキルを好んで使ってる傾向があるみたいだから、ちょうどキリト君みたいな相手でも、スピーディな対応が出来る」
今のキリトに、決して手加減している様子は見られない。その速度にユミルは完全に喰らい付いている。確かに、今の時点で既に二人は、レベルなどの数値パラメータに関係なく、ハイレベルに実力が拮抗していた。
「あの子自身の筋力値は高いし、振りの速度もとても速いから、武器自身の攻撃力に頼らずとも、やろうと思えば計算式上、かなりのダメージを叩き出せる。さらに、武器自身は軽くとも凄まじい攻撃速度のおかげで一撃一撃はちゃんと普通の斧使いのそれ並に重い。あの様子だし、キリト君もちょっとはビックリしてるはずよ」
二人はまだ直接ダメージは負っていないものの、互いの刃を競い合う内に、余波や武器の衝突の際の優劣でHPが僅かずつだがジワジワと減りつつあった。今のところキリトは一割弱、ユミルは約二割がた減っている。あたしの目には互角の展開に見えたが、キリトの持つ《バトルヒーリング》とHP最大値の差か、若干キリトが優勢だった。だが、先程の強烈な《バスター》を受け止めた際にキリトのHPバーが数ドット削れ、ユミルとほぼ同列に並ぶ。
しかしその時、ふと、キリトの口元にうっすらと笑みが浮かんだ。
――未だ残る己の力の余地を見せ付ける、余裕と挑発の笑み。
「……どうした、まだ全力じゃないだろ? 隠し玉はこれ以上出し惜しみはしなくていいぜ」
火花を散らせ続けながら、対するユミルは力を込め食いしばる歯をさらに食いしばった。
「…………後悔しないでよね! ――シッ!」
激突しあう刃を上げ、ライトエフェクトを保ったまますぐさま横に構えると同時に、キリトの横腹めがけて大きく水平に薙いだ。バスターと同じく、最も基本的な両手武器共通の初級単発スキル《ハリケーン》だ。だが、本来鈍重かつ豪快な横薙ぎ攻撃であるはずのユミルのそれは極めて高度に熟練され、最早カタナ使いの神速の居合
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