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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
14:当然の代償
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リトが居た場所に斧の刃が振り下ろされ、地面が大きく穿(うが)たれる。

「え、なんでっ?」

 それを見ていて、あたし達は外見とは別の点で驚いていた。
 確か《ダブル・ファング》は《両手槍》にカテゴライズされたソードスキルだったはずだ。ハルバードは《両手斧》カゴテリであろうはずなのに、これはどういうことなのだろうか。
 揃って疑問の声を上げるあたしたちに、マーブルさんが解説してくれた。

「ハルバードってね、純粋な斧ほど攻撃力は高くないし、リーチも槍ほど長くなかったりで全体的にパッと冴えない能力値なの。だから、真っ当な理由で使う人が意外と少ない不人気武器の一つなのよ。《軍》は、かつての英国の軍隊が実際に斧槍を使用していたから、という理由だけで使ってるみたいだし」

 マーブルは一瞬、困り顔を浮かべた。そんな理由だけで斧槍を使用する《軍》に対する、武器に心血を注ぐ鍛冶職人ならではの心情の表れだろう。あたしとて、マーブルと同時のタイミングで眉を(しか)めてしまった。が、今はそれは話に関係ないので置いておこう。
 マーブルもすぐに表情を取り直し、言葉を続ける。

「……だけどね、ハルバードには忘れられがちな小さなメリットが一つだけあるの。それは……ハルバードは漢字で『斧槍』と書く、まさしくその通りに……《両手槍》と《両手斧》両方のソードスキルを使うことが出来る、という点よ」

「え。――……あ、ああっ!」

 それを聞いて、あたしはあちゃーと額に手を当てた。

「たしかにそうだった気がっ……あたしとしたことが、忘れてた……」

 そもそも、ハルバードは軍の連中以外からはほとんど需要がないし、あたし自身、あまり鍛えた事もない。だからといって武器のメリットを忘れてたなんて、こりゃ鍛冶屋の名折れかも……。看板を汚さない為にも、また勉強し直さなくちゃ。

「そうだったんですか……わたしも知りませんでした」

 アスナも感嘆の溜息交じりに話す。

「でも結局のところ、二つのカゴテリのスキルを使えるっていうメリットは、そう良いことでもないの。幅広く習得していくのは(はなは)だしく手間で面倒だし、それらをフルに使いこなすよりも、いつも通りに一つのカゴテリだけを集中的に邁進(まいしん)していったほうが、スキルごとの熟練が(まば)らにならないで済むから。だから、このメリットを知っていても実際に活用する人はとても少ないの。……だけど、ほら見て」

 マーブルが目で合図した瞬間、再びライトエフェクトを帯びたユミルのソードスキルが炸裂した。

「でやぁっ!!」

 張り上げた叫びの直後、後ろ手に構えた斧を振り上げ、飛び掛ると同時に全体重をかけて思い切り振り下ろした。両手斧の最も基本的な単発初級スキルの一つ、
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