14:当然の代償
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たり出来るのか……一度、こういった人達の脳の構造を知りたい気も……
「…………ん?」
ふと気付く。
ユミルは、その場で、動かずに……あの羽のように軽い、白い斧を振り回して……
あっ、そうか。
「……足の速さじゃなくて、腕の……攻撃の速さが……?」
「はい、リズちゃん大正解っ」
ぽむ、と手を合わせて賞賛の声が送られる。
「そう、ユミルの武器を振る速度は尋常じゃないわ。通常攻撃の速度は、筋力値や敏捷値じゃ上がらない。それはプレイヤー……ユミル自身の熟練や素養にのみ左右される。どうしてあの子が斧なんて使いこなせるかは分からないけれど……ともかく、これがあの子の『独自のビルド』で最初に挙げるべき要素ね。ついでに言えば、あの子が重鎧を付けない理由もその為のようね。……それでも、少しくらい軽鎧や良質の服を着てくれてもいい気がするのだけれど、ね」
「あのっ、マーブルさん。『独自のビルド』って……?」
反対側の隣で、ずっとあたし達の話を聞きながら観戦していたシリカとアスナも話に入ってくる。
「ユミルちゃんの、キリト君に渡り合える程のものすごい攻撃速度は分かりました。だけど、観ててもそこまで独自のビルドって程の戦いには見えないんですけど……」
アスナの言葉にマーブルは「たしかに」とクスッと笑った。
「今はまだ普通だけどね、見てればきっとすぐに分かるわよ。あの子も、まだまだ本気じゃないみたいだから」
その時丁度……ギィン! と、一際大きい剣戟の音が響き、話を中断し一斉に振り返る。
二人は長い剣戟とパリィの交錯を続けていたが、ついにユミルのほうが痺れを切らしたようだった。力任せの一撃と共に、大きく後ろに飛びずさった。
そして槍斧の矛先にポウ、と淡い光が灯る。……間違いない、《ソードスキル》だ。
「…………!」
それを確認したと同時に、キリトが警戒した風に瞬時に身を低くした。そして再び先手を得んと、ユミルが向かって駆ける。
……改めて見れば、確かにユミルの足の速さはごくごく普通の速度だ。最初の踏み込んだ一撃は、片手剣よりはまだ長い槍斧のリーチと、片手剣ばりの振りの速さによる目の誤錯覚だったようだ。
「ふっ!」
ユミルは大上段に掲げ上げた矛先をキリトの胸まで振り下ろし、間髪空けず副槍で喉めがけての突き上げを続けて放った。二連撃の中級ソードスキル《ダブル・ファング》。キリトは最初の一撃を刃で受け流し、続く突きを膝を地に着けながら低く屈み回避していた。キリトはそのまま隙を突いてカウンターに入ろうとするが、わずか二連撃故の硬直時間の短さでユミルもそのまま斧を振り下ろし、あえなくキリトは反撃を中断、真横へ側転しながらの回避を余儀なくされていた。一瞬前までキ
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