14:当然の代償
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うに硬直する体を必死にもがいている。だが、システムの絶対的な束縛には、誰であろうと決して抗えない。
「安心しろ。決着のつく強攻撃といっても、半損までの残りHP約2割を削る程度……ちゃんとHPの5割に留まる位に加減するから」
「くっ、ううぅっ……!!」
……………。
これは仮想空間かつ相手から挑まれた決闘なのだが、動けない無抵抗の女の子に剣を振り下ろすのというのは……世辞にもあまり良い絵ではなく、あたし達だけじゃなくキリトも若干申し訳なさそうな顔をしているが、こればかりは仕方が無い。
キリトは軽く頭を振り、雑念から気を引き締め、システムにギリギリ強攻撃と判定されるだけの振り下ろしを執り行った。
それは避けられることなく、ユミルの肩から浅い胸までを浅く裂いた。それは、あたしからみても見事な加減具合の斬撃で、これで勝敗は決したように見えた。
「ぁぐっ!」
斬撃を受けた瞬間、あたし達の胸もズキンと痛むユミルの小さな悲鳴と共に、ユミルのHPがついに目に見えて減り始める。
残り7割、6割……やがて、とうとう5割に達し、バーがイエロー表示となった。
「や、やった!」
と、あたしは思わずグッと拳を小さく握っていた。いや、今回のこの対決は正直どちらかだけを応援出来ず、複雑な心境での観戦だったのだけれど……このアクションは、なんとなくだ。
――だが、その時だった。
「うわっ……!?」
「「「えっ……!?」」」
ユミルと対峙しHPを見届けていたキリトと、あたし達は同時に声を上げていた。
ユミルのHPは勢いを止めることなく、減少を続けていたのだ。
それが残り4割まで迫るが、その勢いは全く衰える様子を見せない。まさかあのキリトが力加減を誤ったとも考えにくい。
「ど、どうなってるんですか……!?」
シリカが慌てた声を上げるも、当然その答えが山彦のように帰ってくるはずもなく……
残り三割を切り、ついにレッド表示となる。
「ユミルッ……お、お前っ……!?」
だが一番慌てているのは、剣を振り下ろして勝利を収めたキリト本人だった。
この中で唯一、慌てることなく静観している人物、マーブルが口を開いた。
「……あれが、ユミルの弱点よ」
まるでそれが宣言だったかのように、ようやくユミルのHP減少がピタリ止まった。
残りは、わずか二割を残すところだった。
一斉にホッと盛大な息をつき、キリトに至っては冷や汗を頬に伝わせながら胸を撫で下ろしている。
「マ、マーブルさん、弱点って……?」
あたしは焦りで少し掠れてしまった声を絞り出す。
「言ったでしょう? ユミルのビルドは、この世界じゃ誰も真似しないって。それ
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