14:当然の代償
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き出された斧槍はたちまち周りの空間をも巻き込んだ爆風を生み、前方のあらゆる物全てを吹き飛ばすかの如く衝撃が駆け渡った。超弩級のキャノン砲をぶっ放したかのような、此方の体の芯まで響く重低音が大気を叩く。
単発重攻撃の両手槍スキル《ヴォーパル・チャリオット》。端的に言えば、キリトの持つ《ヴォーパル・ストライク》の槍バージョンであり、同じく熟練値950を超えないと習得できず、その条件に見合ってその火力は他の中級初級スキルの比ではない。それどころか、技の出までの時間と技後の硬直時間こそネックとなるが、両手で放たれるそれは、片手剣のヴォーパル・ストライクをも超える長大なリーチと絶大な威力を誇っている。
「キ、キリト君っ……!」
アスナが張り詰めた声を上げるが、ユミルの眼前数メートルがスキルエフェクトによって霞んでしまった為に、キリトの安否を確認することが出来ない。直撃を受け、HPを半損以上削られ敗北したか、回避に成功したか……いや、あのキリトといえどあの一撃を完全に回避する事は難しいはず……
だが。
「あっ、キリトさんは無事ですっ……!」
続けてシリカが声を上げた。すぐに霞んだ情景が回復し、キリトのHPバーが確認できた。
そのバーは、以前からほとんど減っていないように見えた。
あの黒の剣士といえど、宙に浮けるはずなどないのに、一体どうやって回避を……
「なっ……!?」
さらに続いて驚きの声を上げたのは、突き出した姿勢のまま驚愕するユミルだった。
彼女の斧槍の矛先には何もなく、ただ空を突くだけに終わっていた。
そしてその大刃のすぐ脇には、キリトの片手剣が地面から垂直に突き刺さっている。
「――ふう……危うく、半分までの残りHPを全部持っていかれる所だったな……っとと」
その声の主、キリトは――地へと突き刺した剣の柄を足場に、片手で逆立ちをしていた。
そうすることで地への距離を離し、ユミルのヴォーパル・チャリオットの突きと衝撃を回避していた。キリトは逆さのまま、ふと此方を見てニッと笑って見せると、ひょいと体を半回転させて、今度こそ足から着地した。その目の前には、姿勢を変えられずにいる対戦相手……ユミルの未だに驚愕している童顔がある。強力な上級スキルを発動した代償として、長い硬直時間を科せられているのだ。今までとにかく硬直時間の短いスキルばかりを見ていたので、今の静止を強いられる彼女の姿が、とても長く感じられる。
「俺の勝ちだな、ユミル」
キリトはやや早口気味でそう宣言し、剣を振り上げた。硬直時間は長いと言っても数秒の事なので、あまり悠長には出来ないのだ。
「う、ぐっ……! ボ、ボクはっ……!」
ユミルは悔しそうに歯を食いしばりながら、鉄のよ
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