3話
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
人物は彼女にとって異質な存在であった。
「彩君があんなんになるなんて・・・私だったら死んじゃうよ・・・」
「う・・・」
体に重みを感じながら、俺の意識はだんだんと覚醒していった。
「ここは・・・」
目を開けた先に見えたのは普段見慣れている、自分の部屋の天井。
「生きてる・・・のか」
あの場で気絶したため、もしかしたシャドウに殺された可能性があった。
俺が今生きているのはたぶん真田先輩のおかげだろう。
いくら脳筋で、戦闘狂でもたまには役に立つではないか、と思いながら、俺は重みを感じる自分の体に目を向ける。
「・・・先輩」
「ぅ・・・ぅぅん・・・」
体を起こそうとすると、先輩の体が揺れ、むにゃむにゃと意味を理解できない寝言らしきものが聞こえる。
「・・・邪魔すぎる」
なんて迷惑な人なんだろうか。
今回入ってきた岳羽さんの世話をすることを拒否するわ、ペルソナは攻撃系じゃないため安全な後衛にいるわ、その上人の安眠を邪魔するわ。
まったくもって邪魔でしかない。
「起きてください」
先輩が俺の胸の位置に抱きついているため、体をうまく起こせない。
右手で先輩の肩を何度か揺する。
「起きてくださいよ・・・」
もしかしたら、あの時倒れた俺を心配して介護してくれてたのかもしれない。
いや、きっとそうだ。
あの先輩だから、きっとそうだ。
そのことには感謝してもいいかもしれないが、
「邪魔なものは・・・邪魔だっ!」
何度揺すっても起きない先輩を抱え込むようにして、自分と位置を反転させる。
「ふぅ・・・てか、今何時なんだ?」
ふと疑問に思って、部屋の時計を見上げる。
11:00
「・・・おぉう」
学校は既に始まっている。
学校へ行かなければならないが、体はその思いとは反対にダルい。
「・・・はぁ」
喉が渇いたな、と思い、部屋の外にある自販機へジュースを買いに行こうとする。
「おっと」
扉へ向かおうとした俺の体がガクンと止まる。
止まった原因は俺の服を掴む手だった。
「・・・先輩」
ベットに入るときに脱がされたのだろう、俺は今、制服の上着を脱いでいた。
そんな俺のシャツの裾は、ベットに眠る先輩の手に掴まれている。
「はぁ・・・」
なんとなく先輩の傍にいてあげなきゃいけない気がして、俺は自分のベットに腰掛ける。
なんとなく、本当に気まぐれだが、誰かの体温を感じて、安心していたことは認めよう。
お礼、なんていえるほどの価値はもちろん無いが、俺はそんな気持ちで先輩の頭を撫でる。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ