トワノクウ
第二十八夜 赤い海(一)
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
くほどに右手の平のしるしは鋭利に痛んでいく。
「おい、あれ!」
露草が指した。空が、赤い。まるで火事の現場だ。
「妖の気配と、血臭も混じってるな。夜襲でも受けたか」
「っ行きます!」
「これ白鳳! 先走ってはならん!」
空五倍子に叫ばれ、くうは唇を噛んで踏み止まった。
程なく彼らは坂守神社から僅かに離れた、敷地と森の境界線に降り立った。神社に入るための鳥居も見える。
「ここからは結界があって俺達は入れない。一人で行けるね?」
「はい!」
くうは踵を返して駆け出した。
鳥居を潜るや、体がずしんと重くなった。初めて来た時とは異なり鳳が完全覚醒していたためだろう。
(私が死ぬ結果になったとしても)
境内に入って石畳を蹴って社を目指した。
あちこちでピンクのぶよぶよしたモノと巫女たちが戦っている。火矢を使う巫女もいた。火の手が上がったのは、だから。
彼女らに加勢せず目当ての人物を探していたくうは、
(逢いたいだけなの、潤君に!)
目の前に立ちはだかる――恋しい少年の敵意に満ちた姿に、底知れない安堵を覚えた。
Continue…
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ