飛竜の黒水晶
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3分は生きていられるから。その水晶が砕ける瞬間を見せてから、たぁっぷり可愛がってあげるわ」
そう言って、フラウは妖艶に微笑んだ。
(姉さんは大丈夫だろうか…ああ、こんな事になるならやはり目を離さなければ……いや、GPSでもつけておくべきだったか!?)
―――――他のメンバーが真剣に戦っていても、シスコンは平常運転だった。
カツ、カツ、とブーツを鳴らしながら歩くクロスは、顎に手を当て考え込むように俯きながら足を進めている。
(うう…姉さんがいなくなったら俺はどうやって生きて行けばいいんだ……生き地獄じゃないか!俺が何をしたというんだ!俺はただ変わらず姉さんを愛でていただけだっ……!)
姉がいなくなると途端に生きられなくなるダメ男、それがクロスである。
食料が山の様にあろうと、一生金に困らないほどの大金持ちになろうと、生活は問題なく出来る状況にあろうと、ティアがいなければ1日と持たないのだ。
そんなだから、最近ギルドでは「クロスはティアさえいれば、何かを食べたり飲んだりしなくても1ヶ月くらい生きていられるんじゃないか?」という憶測が存在する。
(くそっ…俺から姉さんを奪うなど万死に値するぞ!神だろうと竜だろうと魔王だろうと八つ裂きにしてやる!貴様等は怒らせてはいけない者を怒らせたあああああっ!)
勝手に神や竜や魔王を敵だと認識し始めるクロス。
そんな彼に近づく影が1つ。
「クロス殿か……何とも相手のしづらい」
「ん?」
振り返ると、そこには少女が立っていた。
ふわりとした白い羽で構成されたようなワンピースに、空色の瞳。白銀の髪は緩やかにウェーブしている。
足音1つ立てずに、ある程度の距離を置いてクロスの後ろに立つ少女―――――シェヴルを見て、クロスは怪訝そうな顔をした。
「誰だお前は。俺はお前なんざ知らないし用はない。いいから黙って姉さんを解放しろ。そうすれば1回斬るだけで許してやるが?」
「許してもらおうなどと思っていない。ティア嬢は今日死ぬ」
「……何だと?」
ピクリ、と。
クロスの形のいい眉が上がる。
それに気付かず、シェヴルは続ける。
「巫女としての力を使い果たした三流などゴミも同然……殺すのは当然と言えるだろう。安心しろ、クロス殿は殺さ――――――!」
最後まで言う事は不可能だった。
否、目の前の男がそれを不可能にした。
「がっ…うあ…!?」
気づけば、一撃喰らっていた。
目の前の剣士はその細い腕で扱えるとは思えないほどに大きな剣を右手に構えている。
青い前髪の奥から、同色の瞳が覗く。
その口から、怒りを込めた声が発せられる。
「……貴様如きが、俺の姉さんを語るなど認めん」
シェ
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