飛竜の黒水晶
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を持つジョーカーのカードが、アイゼンフロウに歩み寄る。
その剣を、振りかざす。
「やめてぇーーーーーっ!」
駆け出す。
転びそうになりながら、走る。
「上演中は他の御客様の御迷惑となりますので、立ち上がらないでください……常識よね?」
「あぅっ!」
が、フラウの鞭がサルディアの足を絡め取り、転ばせる。
転んだサルディアは額を抑えながら起き上がった。
そして――――――目を見開く。
「あ、ああ……」
その目に映ったのは、絶望。
―――――――ジョーカーの剣が突き刺さったアイゼンフロウと。
―――――――それを静かに見下ろす、ジョーカーの騎士。
「アイゼンフロウ……!」
サルディアは駆け寄り、大きな身を抱き上げる。
燃える炎のような瞳は、開かれない。
――――――その体が、光に包まれる。
「!いや……!」
アイゼンフロウの体が縮む。
どんどん縮んで、その姿が光で見えなくなる。
「あっ…」
パアアアッ…!と。
光が辺りを包み込んだ。
思わず目を瞑ったサルディアが恐る恐る目を開き―――――震えた。
アイゼンフロウ――――――だったモノは。
赤い光を纏う、黒い水晶と化していた。
「……嫌…嫌だよ、アイゼンフロウ……こんなの嘘だよね……」
震える手で、水晶に触れる。
ほわり、と僅かな熱が伝わった。
淡く光る黒い水晶を抱きしめる。
「……死んだみたいね」
フラウが何の感情もなしに呟いた。
アイゼンフロウ達召喚者が死んだ時、その身は水晶になる。
そして、3分以内に水晶は砕け―――――本当の死を迎える。
「…許さない。アイゼンフロウを殺すなんて……絶対許さな――――――」
いつもの柔和な笑みが消える。
ギリ、と歯を噛みしめる小さな音が聞こえた。
サルディアは水晶を抱えたまま立ち上がろうとし―――――ふらつく。
「っ……あれ?何で…」
「貴女、ここに来るまでに随分な数の飛竜を召喚したみたいじゃない?ただでさえ魔力消費の多い召喚系の魔法であれだけの数を召喚すれば、肝心な時に魔力が無くなるのは当然よね」
そう。
マグノリアからフルールに来るまでの移動手段は、サルディアの飛竜。
つまり、サルディアの消費魔力はかなりのものであるハズ。
「そんな…こんな、時にっ……」
最強と言っても間違っていないアイゼンフロウはもう戦えない。
今の魔力じゃ、ヴェルハルトもルナティックロアも召喚出来ない。
つまり、それは。
―――――――サルディアの、敗北。
「安心して。貴女はあと
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