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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十四話 名剣か魔剣か 
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小僧だ。一つ口に運んだ、確かに美味い。中々の物だ。皆も美味しそうに食べている。
「最高評議会ビルだけじゃありません。国防委員会、統合作戦本部、宇宙艦隊司令部、後方勤務本部にも送られています。他にも第一艦隊、第三艦隊、何処も大騒ぎだったようです」

ネグロポンティが付け加えるとボローンが
「最高評議会と軍組織を狙ったテロ、そういう事だな。まあ送った本人が危険物だ、保安部が神経質になるのも仕方がないだろう。ウチに送られなくて良かったよ」
と言ってクッキーを口に放り込んだ。会議室に笑いが起こった。皆がそれぞれに同意の言葉を口にした。

「本人は知っているのかね、大騒ぎになった事を」
「知っている、呆れていたな。たかがクッキーを送っただけで何でそこまで騒ぐのだと首を傾げていた」
ホアンとトリューニヒトの会話にまた笑いが起こった。

「それを言うなら何だってまたこんな物を送って来たんだ? ヴァロアのクッキーだろう、確かに美味しいがヴァロアはハイネセンにも有るじゃないか」
ターレルが首を傾げている。トリューニヒトが笑った。
「そんな事を言うと彼が気を悪くするよ。これはフェザーンに有るヴァロア本店限定販売の商品なのだから」
「……」
皆が顔を見合わせた。

「本当かね、それは」
「本当だよ、ホアン。つまりこれはハイネセンでは売っていないんだ。ついでに言えば店頭販売のみでね、文字通りフェザーンの本店でしか手に入れる事が出来ないクッキーだそうだ」
これが限定品? ただのクッキーじゃないのか? 私だけじゃない、皆がクッキーを見ている。トリューニヒトが“良く味わってくれ”と言ってまた笑った。

「食べながらで良い、聞いて欲しい事が有る。ヴァレンシュタイン諮問委員長を現役復帰させようという話が経済界、議会に有る。マスコミも騒いでいる。そして政府内部からも現役復帰させてはどうかという意見が出てきた。これについて話し合いたい」
政府内部? つまりこの中からか、誰だ? ネグロポンティか?

「どこから出た話なのかな、それは」
「国防委員会、外交委員会、通商委員会だ」
トリューニヒトが私の問いに答えると皆の視線がネグロポンティ、グリーンヒル、アルドニンに向かった。三人は居心地が悪そうにしている。

「現役復帰という事だが諮問委員長は如何するのかね、辞職させるのか? 兼任というのは拙いだろう」
マクワイヤーが質問したが三人は答えない、答えられないのか。それを見てシャノンが“先ず理由を聞かせて貰いたい”と言った。

三人が顔を見合わせたがネグロポンティが最初に口を開いた。
「例の移動要塞ですが国防委員会と軍はその運用実績を確認したいと考えています。それによってこちらで建設する要塞を固定要塞にするか、移動要塞にするか決定したい。その
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